2007年9月2日日曜日

リンデンラボ社発表の7月のKey Metricsより

セカンドライフの公式ブログで、7月のKey Metricsが発表されましたので、その中からいくつかの項目をピックアップしてご紹介します。

★住民数、ユーザー数、プレミアム会員数の推移


7月末の住民数は854万8,178人でした。住民数というのは個々のアバターの数です。一人のユーザーが複数のアバターを持つ場合あります。

7月末のユーザー数は570万6,958人、 プレミアム会員数は8万8,797人でした。プレミアム会員数だけの推移を表わしたグラフは次のとおりです。

対前月比の伸び率は、住民数が+10.6%、ユーザー数が+9.2%、プレミアム会員数が-6.1%でした。対前月比の伸び率を先月と比較すると、いずれも低下しています。

プレミアム会員数の減少の理由については、リンデンラボ社のKey Metrics担当のMeta Lindenが、ロイターの記事で次のようにコメントしています。

“The most significant reason for the drop in premium numbers was the enactment of a program to put accounts on hold that were in arrears with us,”

(プレミアム会員数の減少の最大の理由は、支払いが滞っているアカウントを停止処分にするという処理方法を開始したからだ。)

また、プレミアム会員数の減少とギャンブル禁止措置との間には相関関係が見られないとも述べています。

ちなみに、ギャンブル禁止措置が実施されたのは7月25日でした。


★性別比(アカウント登録時に申告した性別)

アカウント数による男女比の推移は次のとおりです。

7月は男性が75.67%、女性が24.33%でした。

利用時間による男女比の推移は次のとおりです。

7月の男女比は男性が57.87%、女性が42.13%でした。

Key Metricsでは、実数も提供されてますので、それぞれ男女別に時間数の合計を人数の合計で割って、平均利用時間を出してみると、男性が17.41時間であるのに対し、女性は39.42時間となりました。


★アクティブ・レジデンンツの国別および全体

国別のアクティブ・レジデンツ(過去1ヶ月間のログイン時間が1時間を超える住民)の上位10カ国は次のとおりです。

日本のアクティブ・レジデンツの数は4万4,847人。人数、利用時間とともに第3位で、先月の第6位からそれぞれ順位を上げています。

ちなみに、日本語版がリリースされたのは7月13日でした。

日本人の平均利用時間は、34.87時間でした。 

アクティブ・レジデンツ全体の合計は、人数が56万1,485人、利用時間数が2,347万3,975時間でした。対前月比では、人数が13.4%増加、利用時間数が24.1%増加となっています。


★アクティブ・レジデンツの年齢層別割合

            アバター数   利用時間

13-17(teen grid)     0.86 %      0.73 %
18-24          26.74      17.32
25-34          37.52      36.16
35-44           21.92      27.05
45以上          12.44      18.14
不明            0.52       0.60

利用時間で見ると、35歳以上が全体の45.19%を占めています。


★マネーサプライ

7月末のマネーサプライは、32億6,236万7,543リンデンドル、日本円に換算して 約14億1,000万円でした。(1米国ドル=268.8369リンデンドル=116.23円)


対前月比の増加率は8.0%でした。対前月比の増加率は、12月をピークに低下傾向が続いていましたが、先月の対前月比増加率が6.7%でしたので、今月は上昇しました。



★リンデンドルの為替市場(LindeX)  

リンデンドルの為替市場(LindeX)の取引高の推移は次のとおりです。

7月のリンデンドルの為替取引高は19億5,425万6,648リンデンドル、日本円にして約8億4,500万円。対前月比で7.1%の増加となりました。

リンデンラボ社の新規発行売却高は1億5,907万4,702リンデンドル(約6,900万円)。対前月比で1.7%の減少となりました。

なお、リンデンドルから他通貨への両替を扱っているのはLindeXだけではありません。主なところでは、ショッピングサイトであるSL Exchangeや、銀行サービスを提供しているapezなど。そのようなところの取扱高は不明ですので、為替市場全体の規模を把握するのは、現在のところ不可能です。



★経済安定のしくみ

リンデンドルの為替レートは、ここ1年ぐらいは1米国ドル=270リンデンドル前後で推移し、非常に安定していると言えます。

リンデンラボ社は公式ブログで、The Second Life Economyというエントリを掲載し、リンデンドルの価値の下落とハイパーインフレを防ぐ方法、すなわち、マネーサプライを適正水準に保つための手段について説明しています。

それによれば、これまでは、セカンドライフの規模の拡大に応じて通貨量を増やしてきましたが、将来、人口の伸びが安定化したときには、通貨量を減少させるための手段を多用するかもしれないとのこと。

また、そのひとつの手段として、現在、米国ドル建てで徴収している土地の売却代金と土地使用料を、1ヶ月間だけリンデンドル建てで徴収すれば、リンデンドルのマネーサプライを一気に半分以下に減少させることができるとのことでした。

しかし、土地ビジネスはリンデンラボ社にとって、主要な収入源です。上述の手段をとる前に、スティペンドの減額、アップロード代の値上げ、あるいはインワールドでの独自アイテムの販売など、米国ドル建ての収入を減らさずにリンデンドルの流通量を減らす手段を、まずはとってくるのではないでしょうか。


★土地

7月末の土地の合計面積は、779.95平方キロメートル。うち、メインランドが178.76平方キロメートル、プライベートアイランドは601.19平方キロメートルでした。


対前月比の増加率は、全体では9.5%の伸び。メインイランドの増加率が7.3%、プライベートアイランドの増加率が10.1%でした。プライベートアイランドの対前月比の増加率は、前月より1ポイント低下していますが、メインランドの増加率は3.2ポイント上昇しました。


★新しい指標・・・システムのパフォーマンス

リンデンラボ社は、今回から、システムのパフォーマンスを表す8つの指標を新たに公開しました。

これは、以前のエントリでも触れましたが、リンデンラボ社の姿勢が、セカンドライフの拡大よりも、システム安定性重視の方向に変わってきたことの表れだと思います。最近の公式ブログでは、システムのトラブルがあった際に、どんなトラブルであったのかを詳しく説明するようになりました。

しかし、「システムの安定性の向上に努めています」といくら言葉で主張しても、もしもユーザが、ログイン中にクラッシュを1度でも経験したならば、その言葉を信じるのはたぶん難しいでしょう。

ですから、具体的な数値を示すことで、リンデンラボ社の姿勢をユーザに理解してもらうつもりなのだろうと思います。

さて、その指標ですが、以下のとおりです。公表された数値は、今年の1月からの日毎の数値ですが、月の平均で見るとあまり大きな変化はありませんでしたので、7月の平均値のみを併せて記載しました。

1 異常終了したセッションの割合 22.35%

2 シムから落とされたユーザの割合 7.20%

3 ビューアがクラッシュしたことを報告したユーザの割合 7.57%


サーバサイド指標

4 % of daily usage with sim > 35 FPS 97.19%

5 % of daily usage with sim > 20 FPS 99.38%

(これらの指標の正確な意味は不明ですが、おそらく、シムのパフォーマンスが、それぞれ35FPS、20FPSを超えたシムの数の割合だと思います。daily usageが1日のある一時点で測定した値か、または1日の平均値を意味しているのかは、不明です。)

クライアントサイド指標

6 Highest Viewer FPS for lowest quartile  6.82
パフォーマンスの数値が下位25%に属するビューアの最高FPS)

7 Median Viewer FPS  12.80
(平均FPS)

8 Lowest Viewer FPS for highest quartile  21.18
(パフォーマンスの数値が上位25%に属するビューアの最低FPS)

5 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

システムパフォーマンスの件は指標を出した目的や何を目指すのか説明がされるかと思って Meta Lindenさんの office hourに行ってみたんですが(というか毎週行ってますが)、数値の取得方法説明やその意味の解説でてまどって深い話にはなりませんでした…。

sheila6225 Allen さんのコメント...

nock foragerさま

情報ありがとうございます。指標を出すからには、それなりの目的があるはずだと思い、あのように推測しました。7月メトリックスが発表になった段階で、すでに8月の数値の大部分が出ているはずなので、次回はかなり改善された数値が出てくるのかもと思っています。

匿名 さんのコメント...

マネーサプライが増えてるのは意外でした....

sheila6225 Allen さんのコメント...

公式サイトのecoomic statisticsのページを見てもらうとわかるのですが、マネーサプライの増加要因の主なものは、ステイペンドとリンデンドルの新規発行です。そのうち、7月のスティペンドの供給量は、約1億7,000万リンデンドルです。ところが、7月のシンク(通貨減少要因)は、合計でも約1億リンデンドルです。すなわち、リンデンラボ社が新規発行をしなくても、今のシンクの構造を変えない限り、スティペンドという要因だけで、通貨量がどんどん増えていくことになります。

つまり、SLの構造上、景気とマネーサプライは、リンクしてない部分があります。

匿名 さんのコメント...

会員数が減ってるのにスティップエンドが増加するのかとかがちょっと気になったり...