2007年5月29日火曜日

セカンドライフのマネーロンダリング・・・具体的な手口

セカンドライフの世界に、マネーロンダリングが存在していることを示す具体的な情報が、偶然、WSEで公表されていました。WSEに上場しているApez.bankが、自社のセキュリティーシステムの優秀性を、投資家に伝えるために行なったアナウンスメントの中で明らかにされたものです。

その手口ですが、Apez.bankは銀行業務を行なっており、口座間の送金サービスを提供しています。そのサービスを悪用し、リンデンラボ社にマークされていないアバターの口座にリンデンドルを送金し、そこから米国ドルに換金するというものです。また、原文の文脈から判断すると、その元となったリンデンドルは、偽造クレジットカードを使って購入されたもののようです。

リンデンラボ社はRisk APIというシステムを使って、不審なお金の動きを監視していますが、Apez.bankの口座間送金の場合、そのお金のやり取りはApez.bankのサーバ上で行なわれます。そのため、リンデンラボ社がマークしているアバターからApez.bankの口座にお金が移されてしまうと、リンデンラボ社としてはその後のお金の動きを追跡することができません。

Apez.bankの発表によれば、同社の場合は独自にお金の動きを監視するシステムを備えていたため、不審なお金のやり取りを察知することができました。そしてそれらを調査した結果、マネーロンダリングに関係している100人を超えるアバターを発見し、リンデンラボ社に通報したとのことです。

なお、先日のエントリー(銀行倒産、そして再建・・・Second Life Investment Company)でお伝えした、再建後のL&L Bank and Trustですが、同社も不審なお金の動きをしている4つの口座を凍結し、調査中であることを発表しています。

2007年5月28日月曜日

新しい株式市場・・・International Stock Exchange

セカンドライフの世界で、World Stock Exchange(WSE)が本格稼動したのは3月初旬のことです。上場企業7社でのスタートでしたが、短期間のうちに上場企業数を増加させ、現在ではIPOを含めて約90銘柄が取引されています。

最近、この隆盛を極めるWSEを追いかけるように、2つの株式市場が創設されました。その一つがInternational Stock Exchange(ISE)です。
 上の画像は、ISEの本社建物です。

建物内部にある株価ボードです。まだ、自社であるISE1社のみしか上場されていません。

代表者はCokey Dagger。The Second Life Newspaperに掲載されたインタビュー記事によれば、現実社会での職業はソフトウェア開発者だそうです。

ISEを創設した動機について尋ねられた彼は、次のように答えています。

"There needs to be an alternative securities exchange for the residents of Second Life. I sat around and waited to see if another stock exchange was going to offer competition to the WSE, and when none did, I decided that I had to do it. ... Competition is a good thing."

つまり、複数の株式市場が存在し、お互いに競争しあった方が住民のためになると考えたのでしょう。

彼はまた上述のインタビューの中で、ISEの取締役会についても言及しています。それによれば、取締役会は5人の役員で構成され、うち3人は一般の投資家の中から信任投票によって選ばれるとのことです。

今日現在、すでに2人が信任されており、残りの1つのポストについては、投票期間中です。

また、Cokey DaggerのCEOとしての任期は今年末までで、任期の延長については、その時点で取締役会が判断するのだそうです。

なお、市場の透明性を確保する手段についてですが、上場企業に対しては月次決算報告書の提出が義務付けられてはいるものの、それをチェックする仕組みについては、同社サイト上では何も述べられていませんでした。

ISEで取引が開始されたのは4月27日です。それから約1ヶ月経った、5月28日現在のデータは次のとおりです。

上場企業数 1社
IPO中の企業数 3社
会員数 116人 (取引を行なうためには会員にならなくてはなりません。)
1日の取引高 7,750リンデンドル (約3,520円)
(1米国ドル=121.65円=267.8426リンデンドル)

なお、取引手数料(売却時のみにかかります)は、WSEが3%であるのに対しISEは2.5%。また、株式取引を行いたい場合には、事前に株式市場で口座を開き、ATMからその口座にリンデンドルを入金するのですが、WSEの場合は口座の残高に金利がつかないのに対し、ISEの場合は日利0.05%の金利がつきます。複利でつきますので年利にすると約20%になります。

手数料等の面ではWSEよりも有利ではあるもの、上場企業数、取引高ともにまだまだこれからのようです。

ちなみに、WSEの5月28日の取引高は266万4,755リンデンドル(約121万円)でした。

なお、ISEは5月26日より、口座を開いた人のうち先着1,000名に50リンデンドルをプレゼントするというキャンペーンを始めました。ISEの会員に宛てた通知によれば、ISEは創設後、会員獲得のため、広告費にかなりのコストをかけてきたそうですが、会員数の伸びが予想外に低かったため、このようなキャンペーンを始めたのだそうです。

やはり、先んじれば人を制すということなのでしょうか。

セカンドライフのもう一つの新興株式市場であるAllenVest International Exchange(AVIX)については、次回にお伝えします。

5月29日追記:マネーロンダリングについて書いた部分は、別にエントリーを立てました。

2007年5月25日金曜日

銀行倒産、そして再建・・・Second Life Investment Bank

いつものように情報収集のために海外のサイトに目を通していましたところ、あるエントリーが目に留まりました。

Where In The World is JC Brinks? Missing Information about Touchet Group Corporation and Second Life Investment Bankと題されたそのエントリーは、Second Life Investment Bankという銀行が、家具とATMだけを残して突然消えてしまったことを伝えていました。さらに、その銀行の親会社である、Touchet Group Corporation (TGC)の株式が、World Stock Exchange(WSE)において取引停止になっていることも伝えていました。

Second Life Investment Bankは、上述のTGC社とL&L Rentals and Sales (LLL) とのジョイントベンチャーとして設立された銀行です。LLL社の説明によれば、約500万リンデンドル(約225万円)を上回る資産と、400を超える口座を保有していました。(1米国ドル=268.4849リンデンドル=121.15円)


上の画像は同銀行のウェッブサイトです。(5月10日時点でのスクリーンショットです。)

World Stock Exchange(WSE)のサイトを見てみると、5月9日付でTGC社がアナウンスメントを公表していました。その中で同社は、銀行本社が立地するシムを売却したこと、そして、売却に際し、現状がそのまま維持されることになっていたにもかかわらす、建物と道路が破壊されてしまったことを明らかにしています。

銀行のもう一方の親会社であるLLL社も、5月10日付けでアナウンスメントを発表していました。それによれば、銀行が多大な損失をこうむったことにより倒産状態にあること、そして、現在のところ、TGC社と十分に連絡が取れていないとのことでした。

下の画像は、5月10日に、銀行の本社建物があったとされる場所を訪れたときに撮ったものです。銀行らしき建物は見当たらず、すでにATMも撤去されてしまった後のようでした。


このときに私に話しかけてきた男性は、7万6,400リンデンドル (約3万4,000円)の預金を失ったと言ってました。もちろんアバターですので表情はわかりませんでしたが、何もない野原を目の前に一人でぽつんと立っていたので、ひどく落ち込んでいたのかもしれません。

下の画像は、銀行のATMが設置されていた場所を訪ねたときのものです。看板だけ残っていました。


このような事態を受けて、銀行の預金者たちの間で、Second Life Investment Watchというグループが結成され、情報交換や今後の対応についての意見交換が行なわれていました。

その後間もなく、再び、TGC社LLL社からそれぞれアナウンスメントが発表され、銀行に何が起こったのかが明らかにされました。それによると、今回の件の概要は次のようなものです。

Second Life Investment Bankに、ある預金者が多額の不正資金を預けました。

一方、何らかの方法でその不正資金の存在を知ったリンデンラボ社は、同社の規約に基づき、その資金を銀行から押収しました。また同時に、不正資金を所有していたアカウント、つまり銀行を代表するアバターのアカウントから、不正資金の50%に相当する金額を罰金として徴収しました。この措置もその規約に基づくものです。これにより銀行は資金難に陥ってしまい、営業停止に追い込まれました。

一方、それとほぼ同じ時期に、銀行本社が立地していたシムがTGC社によって売却されました。その際に、TGCの役員であり、銀行本社などを建設したビルダーでもあるAlysia Deminaという人物が、TGC社のCEOに対する私怨から、銀行本社とシムの公共施設を破壊してしまいました。

つまり銀行の資金難と、親会社の内紛とが時期的に重なってしまい、事態を複雑にしてしまったわけです。

LLL社は、また、上述のアナウンスメントの中で、同社が銀行の経営権を引き継ぎ、銀行名をL&L Bank and Trustに変更した上で営業を再開すること、および既存の預金がすべて保障されることを表明しました。

預金の引き出しについては、新体制が完全に整うまでの間、1日あたりの限度額が設けられたものの、これで預金者は預金を失うことなく済んだわけです。

なお、リンデンラボ社が罰金として徴収した金額を、銀行に返還するかどうかについては、いまのところ不明です。

また、リンデンラボ社が不正資金だとした、その「不正」の内容は一切明らかにされていません。私としては、その辺も大いに興味あるところです。
 
今回の件は、銀行が第三者の不正に巻き込まれてしまったために起こった出来事で、いわば、銀行も預金者も被害者です。リンデンラボ社が規約に従って、不正資金を押収したのは当然の措置だと思いますが、このように実態を無視した杓子定規な規約の運用の仕方には疑問を抱かざるを得ません。 
 
セカンドライフの住民たちにとって、リンデンラボ社の規約は一種の法律です。今回の件は、インワールドのビジネスに関して、ヴァーチャル世界独特の「法的リスク」とでも呼ぶべきものが存在することを示したといえるかもしれません。

2007年5月22日火曜日

THE LAND LISTが更新停止に・・・リンデンラボ社のランドボット対策?

5月8日のエントリーで、メインランドの土地の売り出し物件の検索サイト、THE LAND LISTを紹介しました。

その時にはお伝えしませんでしたが、同サイトのトップページには、過去24時間の土地の取引高、平均取引単価などの有益なデータが掲載されています。それを近日中にブログで取り上げるつもりで、データの収集方法等について問い合わせをしていましたところ、サイト製作者のChristian Colvilleさんから、同サイトが更新できない状態になっていることを知らされました。

Christian Colvilleさんは、同サイトに掲載するデータを得るために、改造したアバター(ビューアー)を使用していました。ところが、そのアバターがリンデンラボ社によって"making an excessive number of land searches "(過剰な回数の土地検索を行なっている)とみなされ、そのアバターのアカウントが停止されてしまったのです。そのため同サイトは、5月17日以降更新できなくなっています。

過剰とみなされるものとそうではないものの線引きの基準を、リンデンラボ社は今のところ明らかにしていませんが、Christian Colvilleさんの使用していたアバターは、1時間に約125回検索を行なっていたそうです。

今回の件は、Second Life Insiderの5月18日付の記事、Linden Lab taking action against landbots?でも取り上げられています。

リンデンラボ社はランドボット対策の一環として、土地の検索回数の多いアカウントを機械的にピックアップし、一律にアカウント停止措置を取ったものと思われます。

しかし、Christian Colvilleさんの場合は、インワールドの検索機能よりも便利な機能を持つサイトを無料で提供しており、そのために改造したアバターを使用していたのです。その辺の事情を考慮せず、彼のアバターをランドボットと同列に扱い、アカウント停止措置を取るというリンデンラボ社のやり方は、かなり安直なものではないかと思います。

この措置について、彼はリンデンラボ社にコンタクトをとっていますが、まだ回答が無いそうです。

上記のサイトには、アカウント停止措置の解除を求める請願書の署名欄が設けられていますので、関心のある方はそちらをご参照ください。

ビューアーのソースコードが今年1月にオープンにされましたので、ユーザーはそれを元にビューアーを改造し、いろいろと便利な機能を付け加えられるようになりました。自動でアバターを動かすこともその機能の一つだと言えるでしょう。

便利な機能を使用するということは、それだけリンデンラボ社のサーバに負担をかけることになるかもしれません。ある一定のラインを設けて、それ以上サーバに負担をかけるようなものを一律に使用不可とするやり方は簡単ですが、そのようにすると、今回のように、皆の役に立つものまではじき出してしまう可能性があると思います。

新たに開発された機能がどのくらいコミュニティー全体の利益に貢献するのか、それを評価するシステムをつくり、その貢献度に応じて、段階的にサーバへの負荷を容認する仕組みを作らないと、そのうち、皆でサーバのリソースの取り合いになってしまうかもしれません。

2007年5月20日日曜日

セカンドライフの土地・・・メインランドのオークション

★オークションで売られる土地

リンデンラボ社の収益源の一つは、土地の造成・売却です。プライベートアイランドの場合は、ユーザからの注文を受けてから造成しますが、メインランドの土地の場合は、リンデンラボ社が自主的に造成し、それをシム単位でオークションで売却しています。
 
なお、オークションで売られるメインランドの土地には、上記のもののほかに、比較的、面積の狭いものもあります。こちらは、元の所有者が放棄したものなど、何らかの事情でリンデンラボ社の管理下に入った土地のようです。1,024平方メートルなどの、手ごろな広さのものもあります。  
 
面積の狭い土地については、リンデンドル建てでオークションが行なわれますが、面積の広い土地に関しては、米国ドル建てでオークションが行なわれています。

 
★落札価格の推移(シム単位またはそれに準じた広さのもの)

メインランドのシムはプライベートアイランドのシムとは異なり、購入後、いくつかの区画に分割してそれを他人に売却することが可能です。したがって、オークションの落札価格の変動が、メインランドの土地の小売価格に影響を与えていることが十分予想できます。  
 
落札価格の推移ですが、Second Life Auction Statisticsというサイトにそのグラフがあります。作者の許可を得られましたので、それを掲示します。赤のラインがその月の落札額の幅を示したものです。青のラインが平均落札価格です。



今年の1月以降、平均落札価格が下落しているのが分かると思います。

なお、オークションに出される土地は、シム丸ごとの広さである6万5,536平方メートルの広さを持つもののほかに、シム内に道路などのリンデンラボ社が保有する土地があるために、広さが6万5,536平方メートルに満たないものもあります。上のグラフでは、5万5,000平方メートル以上をシムと見なしています。  
 
(土地の平均小売価格の推移を表したデータも探したのですが、残念ながら見つかりませんでした。)  
 
上記のサイトに掲載されていた、日別のオークション個数から、月ごとのオークション個数をまとめたものが、下のグラフです。




4月は3月よりもシムの供給量が僅かに減少しているのにもかかわらず、平均落札価格が下落しているのが分かります。

平均落札価格の推移から次のようなことが言えると思います。

1 4月以降、メインランドの需要が減ってきているかもしれない。 
 
景観を破壊する広告看板の乱立、ランドボットの存在などのネガティブな要因、及び登録者数の対前月比増加率が低下したことから、メインランドの土地に対する需要が減ってきているのかもしれません。
 
(5月20日18:40追記 梅干さんから、有益な情報を頂きました。落札価格にはシムの土地の形状も関係しており、またオークションに出されるシムの土地の形状が時期によって偏っていることがあるとのこと。それが、落札価格の下落に関係しているのかもしれないとのことでした。詳しくはコメント欄をご参照ください。)

2 リンデンラボ社の狙い

落札価格が下落すれば、それだけリンデンラボ社がオークションから得られる収益は減ることになります。供給を抑えれば、落札価格は上昇するはずですが、リンデンラボ社はそうしようとせず、上のグラフからもわかるとおり3月までは供給量を伸ばしてきました。

現在、メインランドで土地を購入できるのは、プレミアム会員だけに限られています。ですから、メインランドの土地を増やすことは、プレミアム会員を増加させることにつながるわけです。

プレミアム会員は毎月会費を払ってくれますので、リンデンラボ社にとっては安定収入源になります。ですから、それを狙って、落札価格の下落傾向を容認しながら、3月までは供給量を伸ばしてきたのかもしれません。
 
 
Second Life Auction Statistics

メインランドの土地のオークションについて、興味深いさまざまなデータが集められているサイトです。Melina Loonie さんというドイツの方が運営しています。

同サイトによると、昨年の12月12日以降、現在までに、110個もシムを購入した人がいることもわかります。その人が支払った金額の総額は、27万2,039米国ドル、日本円で約3,294万円です。もし、その人が個人で購入しているとすれば、すごいですね。(1米国ドル=121.09円) 
 
土地の売買をビジネスとされている方には、一見の価値があるサイトだと思います。

2007年5月18日金曜日

セカンドライフの土地・・・不正取引の新たな手法

土地取引を巡る問題の一つとして、5月3日のエントリーで、ランドボット呼ばれる改造プログラムを使用して、土地取引で利益を図っているケースがあることをお伝えしました。

最近、それとは別の改造プログラムを利用したと思われる、不正取引のケースが発生しています。土地の売り手が、土地の売却価格を瞬時に変更し、土地の買い手に高く売りつけるというものです。

KnowProSE.comというブログに、その実際のケースが掲載されていました。

ある人が、4,300リンデンドルで売りに出されていた512平方メートルの土地を購入するつもりで、その手続きを行なっていたところ、その価格が瞬時に変更されてしまいました。その結果、彼は当初意図していた4,300リンデンドルではなく、4万3,000リンデンドルを支払うことになってしまいました。つまり、意図していた金額よりも、3万8,700リンデンドルも高い金額を支払うことになってしまったのです。

その人は、土地購入の確認画面で、価格が4,300リンデンドルと表示されているのを確認したと言っており、また、そのスナップショットも持っているそうです。

普通のビューアーを使用しているのであれば、他人が土地の購入手続き中かどうかは、知ることができません。したがって、誰かが土地を購入しようとしているときに、その土地の売り手がタイミングを見計らって、価格を手動で高く変更したとは考えにくく、改造したプログラム(ビューアー)を使用したとしか考えられません。

上記のケースの土地の売主は、The Best in SLというグループとのことでした。被害にあわれた方の中には日本人もいます。

私は土地を購入したことはありませんが、物品であれば時々購入します。もし、値段を確認して支払いのボタンを押したにもかかわらず、価格が300リンデンドルと表示されていた物品に、3,000リンデンドルも支払わされてしまったならば、しばらくは、恐ろしくなって買い物を控えるようになるでしょう。

土地取引システムの信頼性と安全性が確保されないならば、そのうちメインランドに土地を求めようとする人はいなくなってしまうかもしれません。

2007年5月16日水曜日

セカンドライフの株式市場・・・WSEの4月の動向

World Stock Exchange(WSE)の株式市場が本格稼動したのは今年の3月6日。それから2ヶ月以上が過ぎました。今回は、WSEの現在の様子と4月の株式市場の動向をご紹介します。  
 
 
★WSEの現在  
 
上場企業数 65社(投資ファンドも含む)
IPO中の企業数 21社
(5月15日現在)  
 
4月3日時点の上場企業数が29社でしたので、約1ヶ月の間に上場企業数が2倍以上になっています。  
 
The Stock Exchange of Second Lifeというサイトの試算によれば、上場株式の時価総額は11億1,594万7,068.44リンデンドル、日本円で約4億9,800万円です。(いつの時点の数字かは、サイトに説明がありませんでしたので不明です。エントリーの日付が5月7日でしたので、5月初め頃の数字だと思われます。)(1米国ドル=120.29円=269.3704リンデンドル)  
 
同サイトには、各銘柄別の時価総額も表示されていますので、興味のある方は、そちらをご参照ください。  
 
なお、WSEで取引を行なっている人の数は、現在は公開されていません。  
 
 
★WSEの4月の動向
 
4月の取引高は次のとおりです。



4月6日の取引高だけが突出していますが、これはWSEがサーバ移転のため4月5日まで市場をクローズしていましたので、市場再開後に取引が一時的に集中したためと思われます。

4月の総取引高は約44万2,500米国ドル、日本円で約5,320万6,000円。1日あたりの平均取引高は1万7,700米国ドル、日本円で約212万8,000円でした。

次に、株価の動きです。Second Life Insiderが毎日発表しているWSE1000という指数の推移をグラフにしました。

WSE1000は、全取引高(リンデンドル)/取引された株式数*1,000で計算されています。つまり全銘柄についての1,000株当たりの平均株価ということになります。


3月末日の指数(1427)を基準値として、どのくらい変動しているのかをみてみますと、+41.8%~-41.3%の幅で変動しています。  

 

★最近の出来事

4月7日のエントリーでお伝えしましたように、私が購入したThe Success Fund(TSF)を含む4銘柄が、さまざまな理由によりWSEで取引停止になりました。

WSEは4月23日にそれらについて調査を開始。その結果が5月5日に発表されました。その内容は次のとおりです。

Some Pau Escort (SEX)は情報開示義務を満たしたため、取引再開。
PC Labs(PCL)とVixen Designs(WED)は、ビジネス活動を停止しており、関係者と連絡が取れない状態にある。
The Success Fund(TSF)は、TSFのCEOが目的外のことに充当した資金を返済するまで取引停止。

PCLとWEDは、上記の発表から見る限り、無価値になってしまったようです。Stock Exchange of Second Lifeに掲載されていた両銘柄の時価総額(取引停止直前の株価)は、合計で99万5,000リンデンドル、日本円で約44万4,000円。これだけの金額を誰かが失ったことになります。

私が購入したTSFは、株式投資ファンドなのですが、やはり、ファンドマネジャーであるCEOが、株式購入に充てるべき資金を使い込んでしまったようです。CEOとはまだ連絡がとれているようなので、ひょっとしたらお金が戻ってくるかもと淡い期待を抱いています。しかし、セカンドライフから突然、姿を消してしまうのは非常に簡単です。CEOのお金の持ち逃げで終わってしまう可能性も十分にあります。

そのほかの出来事としては、5月10日に、Nordpine Comapny(NOR)のIPOがロールバックになりました。 

IPOとは、企業が自社の株を、一定の価格で、初めて株式市場で売りに出すことなのですが、その売り出しには期間が定められています。もし、その期間内に企業が全株式を売り切ることができなかった場合には、WSEの場合、そのIPOがなかったものとしてとり扱われることになっています。IPOの株式を購入した投資家たちには、購入代金が返還されます。それをロールバックと呼んでいます。

ロールバックとなった企業は、事業計画を縮小して、それに基づいた新しい事業目論見書を作成し、再度IPOを行なうことができます。

5月12日には、ROLLING CHIP (ROL)のIPOもロールバックとなりました。このロールバックは、上記のケースとは理由が異なっており、同社の提出した事業目論見書の内容が、他社のものをそっくりコピーしたものであったことが判明したためにとられた措置だそうです。

まじめに事業をやっている人々から見れば、あきれてものが言えないような出来事ですね。

日付は前後しますが、5月10日にはTouchet Group Corporation(TGC)が取引停止になりました。事実関係を明らかにするためというのが、その理由です。

TGCは他社とのジョイントベンチャーでSecond Life Investment Bankという銀行を経営しているのですが、その銀行がトラブルに巻き込まれて、5月8日に突然営業を停止しました。

現在のところ、銀行再開の動きがあるようです。この件については、別の機会にお伝えします。

2007年5月12日土曜日

4月の統計から・・・ビジネスオーナーたちが稼いだ利益と住民たちの支出

★インワールドのビジネスオーナーたちが得た利益の推定総額

セカンドライフ内での経済活動の動向を見るため、リンデンラボ社が発表しているEstimated In World Business Owners というデータを用いて、ビジネスオーナーたちがセカンドワールド内で得た利益の総額を推計してみました。その推移を表したのが下のグラフです。


4月の推定額は414万6,125米国ドル、約4億9,800万円でした。(以下、1米国ドル=120.15円=267.6778リンデンドル)

グラフから伸びが鈍化しているのがわかります。4月の対前月比の増加率は2.6%でした。

また、月間に5,000米国ドル超の利益を得たユーザー数は、3月は152人でしたが、4月は139人と減少しています。

推計方法は次のとおりです。Estimated In World Business Ownersでは、月間の収入がプラスとなったユーザーを、その額に基づいて9つの層に分け、その層ごとに該当する人数を示しています。

そこで、各層の中央値にあたる金額とその層に属する人数を掛け合わせた金額を層ごとに算出し、その後、全部の層の合計を出しました。

なお、最高額の層は利益が5,000米国ドル超となっており、中央値はとりようがありませんので、便宜上、この層に属する人々の利益の額を5,000米国ドルとして計算しました。

Estimated In World Business Ownersで利益として計上されるものには、土地売買からの利益は含まれていません。またリンデンラボ社がユーザーに課す各チャージの控除前の金額です。

なお、上述の推計方法の説明からわかるとおり、最上位層に属する人々のばらつきにより、推定の精度が大きく影響を受けます。その点をご了解ください。最上位層の人々の利益の合計額が全体に占める割合は、4月は約16.8%でした。


★住民たちの支出の合計額


Monthly Spending by Amountのデータを基に、上述と同様の方法で、セカンドライフの住人たちが、インワールドで支出した金額の月間合計額を推計してみました。下がその推移を表したグラフです。


4月における、住人たちの支出の推定合計額は、約54億4,683万リンデンドル、日本円にして約24億4,500万円になりました。

4月の対前月比の増加率は3.5%でした。

元データであるMonthly Spending by Amountは、各住民を月間支出額に基づいて9つの層に分け、その層毎の該当人数を示したものです。最上位の層は、月間支出額が100万リンデンドル(約44万円)超。この層に属する住民は、4月は862人でした。なお、3月は835人でした。

昨日のエントリーでご紹介しましたが、4月は、リンデンドルの為替取引高が初めてマイナス成長を記録しました。また、住民たちの利益と支出額の合計は、上のグラフからわかるとおり、伸びが鈍化しています。

つまりインワールドでの経済活動の成長が、緩やかになってきたということが言えると思います。しかし、日本人居住区のレンタル方法からもわかるとおり、インワールドの外で、セカンドライフ関連のお金のやり取りが発生している場合もあります。そのことを考慮すると、セカンドライフ経済全体の伸びが鈍化してきたと、一概に判断することはできないのではないかと思います。

リンデンラボ社発表の4月の統計より

セカンドライフの公式ブログで、4月のKey Metricsが発表されましたので、その中からいくつかの項目をピックアップしてご紹介します。

まずは、住民数、ユーザー数、プレミアム会員数の推移から。




4月末の住民数は597万3,301人でした。 住民数というのは個々のアバターの数です。一人のユーザーが複数のアバターを持つ場合あります。

4月末のユーザー数は376万8,092人、 プレミアム会員数は8万3,063 人でした。

伸び率ですが、対前月比の伸び率は、住民数が16.3%、ユーザー数が15.9%、プレミアム会員数が9.7%でした。

住民の平均年齢は30歳(ティーングリッドを除く)、性別比は男性が56.97%、女性が43.03%でした。

アクティブ・レジデンツ(前月のログイン時間が1時間を超える住民)を国別に見た場合の上位100カ国について、日本人の占める割合の推移をグラフに表わしてみました。


4月における日本人の割合は3.38%でした。

1月から月ごとに、国別の順位で見ると、日本は13位→13位→11位→8位と上昇しています。ちなみに4月の1位は米国(29.49%)、2位がドイツ(10.37%)、3位がフランス(7.76%)。以下、英国、ブラジル、イタリア、オランダと続き、そして日本となっています。

なお、アクティブ・レジデンツの人数が公表されていませんので、日本人の実数は不明です。

次はマネーサプライです。


4月末のマネーサプライは、25億6,899万1,808 リンデンドル、日本円に換算して 約 11億4,700万円でした。(1米国ドル=267.7250リンデンドル=119.55円)

対前月比の伸び率は13.2%でした。

リンデンドルの為替市場の取引高の推移は次のとおりです。



4月のリンデンドルの為替取引高は19億3,260万1,062リンデンドル、日本円にして約8億6,000万円。対前月比で0.9%の減少となりました。

為替市場のデータは2005年9月分から公表されていますが、それ以降初めて、対前月比がマイナスになりました。

最後に土地です。



4月末の土地の合計面積は、579.42平方キロメートル。うち、メインランドが144.53平方キロメートル、プライベートアイランドは434.90平方キロメートルでした。  

対前月比の増加率で見ると、全体では14.9%の伸び。メインランドの増加率が9.5%、プライベートアイランドの増加率が16.8%でした。

相変わらず、プライベートアイランドの増加が全体の増加に大きく寄与していることがグラフからわかります。


4月は、マネーサプライが伸びたにもかかわらず、為替市場はマイナス成長になりました。この要因およびこれが意味するところは、よくわかりませんでした。構造的変化が起こっているようにも思えます。このことについては、是非どなたかのご意見をいただきたく存じます。

2007年5月8日火曜日

セカンドライフの土地検索サイト・・・THE LAND LIST

メインランドで土地を購入しようと思ったとき、セカンドライフのユーザーなら、まずは、サーチパネルの土地検索を利用して、候補地を探すと思います。しかし、リンデンラボ社の提供する検索システムでは、広さについては最低の広さのみ、価格について最低価格のみしか絞込み条件を指定できません。あまりにも大雑把な絞込み検索で、ものすごく不便です。

そんな不便さを解消してくれる土地検索サイトが、セカンドライフのユーザーによって提供されていますのでご紹介します。そのサイトはTHE LAND LIST。Christian Colville(アバター名)によって運営されているものです。


下がその検索ページの画像です。


絞込み条件として、広さ・価格については、最低と最高が指定できます。また、シム名なども指定できるほか、土地の説明文のテキストサーチも可能ですので、ここでwaterと指定すれば、水辺の土地をリストアップしくてれます。

更新の頻度ですが、リンデンラボ社のサーバとの情報の受け渡しに時間がかかるため、現在のところ2時間毎だそうです。将来は更新頻度を1時間に1回にまで高めるそうです。

サイト運営者に直接メールでいろいろと尋ねてみたところ、さらに次のようなことがわかりました。

このサイトは、libsecondlifeで公開されているソフトウェアを使って構築されたものであり、セカンドライフの全ユーザーの役に立つことを願って作られたものだそうです。

(libesecondlifeとは、セカンドライフの仕組みを技術的な面から解明しようという目的で始められたプロジェクトです。セカンドライフのユーザーたちによって運営されており、ここには、クライアントソフトの仕組みや、サーバとの情報のやり取りの仕方などに関する情報が蓄積されています。)

現在、サーバから取得している情報には、上の画面で公開されているものの他に、売主の情報も含まれているそうですが、万が一のトラブルを考慮して、その公開は控えているとのことです。また、トラフィック情報も入手しており、そちらの方はそのうちに追加公開するかもしれないとことでした。

将来的には、メインランドおよびプライベートアイランドでのレンタル情報も追加するそうです。

このサイトは、リンデンラボ社のサーバのデータベース情報を、セカンドライフの外で公開しているわけですから、やはり、リンデンラボ社の反応が気になるところです。その点について尋ねてみたところ、リンデンラボ社は非常に好意的だったとことです。

ところで、上述のlibsecondlifeに蓄積された情報は、技術者たちにとっては非常に有用なものですが、それを悪用する人も過去には現れました。コピーボットがその代表的な例です。

(コピーボットとは、無断で他のアバターやオブジェクトをコピーするボットです。昨年の後半に現れ、リンデンラボ社によって、正式に規約違反とされました。)

この土地検索サイトの運営者のように、一人でも多くの技術者が、共有されている情報を、皆の役に立つような方法で活用してくれることを望みます。

2007年5月5日土曜日

土地を巡る問題、その3・・・続報

★ ランドボットLandbaron Merlinが売りに出した土地のその後

前回のエントリーの最後で、ランドボットであるLandbaron Merlinが、普通の人であれば誰も購入したがらないような地形の土地を、売りに出していたことをお伝えしました。

さて、その後、その土地がどうなったのかが気になり、数日後、再度その場所を訪ねてみました。

下がその場所の、現在の画像です。わかりやすくするため、前回、Landbaron Merlinの土地の中に、飛び地のように存在していた、他人所有の土地の部分に、ABCという文字を入れてあります。


参考のため、前回の画像を下にアップしました。上の画像と比較しやすいように、同じ区画にABCの文字をいれてあります。

このABCの区画を囲むようにして、Landbaron Merlinの880平方メートルの土地があったわけです。しかし、最初の画像からわかるように、小さな区画が、短期間のうちに増殖しています。

最初の画像の薄茶色の部分が、現在売りに出されている区画です。

一番左側の大きな区画は、512平方メートル。その右側の小さな区画は、すべて16平方メートルです。

これらの土地の所有者は、すべて、Landbaron Merlinとは別の人でした。 そして新しく増殖した、小さな区画を所有している人は、全部で8名でした。

16平方メートルの区画のうち、売りに出されている区画の価格を高い順に並べてみると、2,249リンデンドル、1,000リンデンドル、600リンデンドル、444リンデンドル、298リンデンドル、198リンデンドルとなりました。


つまり、Landbaron Merlinは、非常に不利な地形の土地を売り抜けることに成功したわけです。そして、誰がこのように細かく土地を分割したのかは不明ですが、8名の人が、広告用地、転売目的、または何らかの理由で、これらの小さな土地を買ったというわけです。

すでに大きな広告看板が立ってしまっていますので、この辺に、住居を構えても良いと考える人がいるとは、あまり思えません。上のようなことが頻繁に起これば、そのうちメインランドは、周りの環境を気にしないビジネスの建物と、転売目的の空き地、そして看板だらけの土地になってしまうかもしれません。

2007年5月3日木曜日

土地を巡る問題、その2・・・ランドボット(Landbot)

セカンドライフの土地に関する問題としては、先日のエントリーで紹介したLand extortionのほかに、もう一つ、大きく問題視されていることがあります。それはLandbotとかautomated land buyingといわれているものの存在です。


★ ランドボットとは何か?

ランドボットというのは、土地の売買を専門とするロボットです。割安な土地を見つけると、いち早く現地にテレポートし、その土地を購入します。そして、その土地に新しい売却価格を設定し、次の目標地点へと去っていきます。

土地を購入しようとするときは、人はまず、土地のサーチパネルを開き、条件を指定して、検索を行ないます。そして、サーバから返ってきた検索結果を見て、判断し、それからテレポートして現地にたどり着き、購入というプロセスに至ります。


ランドボットは、この検索から購入までのプロセスを自動的に、高速で行ないます。 そして購入した土地に、売却の設定までするのです。

また、ランドボットは、あらかじめ設定された条件に合う土地を見つけるのに検索を繰り返すのですが、それを5秒という間隔で、その土地が見つかるまで何回でも繰り返すのです。

そして見つけるや否や、直ちに現地にテレポート。ランドボットの処理スピードは、コンピュータの処理スピードですから、いくら人間がすばやく行動したところで、それににかなうはずはありません。

では、このようなランドボットのどこが、問題とされているのでしょうか?
ランドボットの問題は、大きく2つに分けられると思います。


★ ランドボットの使用が、ユーザーの間に不公平感をもたらしている

ランドボットの機能は上でご紹介しましたが、それではランドボットとは具体的にはどんなものでしょうか。

ランドボットとは、一言でいえば、特殊に改造されたクライアントソフトです。(注1)

今年の1月初めに、リンデンラボ社は、クライアントソフトのソースコードを、GNU General Public Licence Ver 2.0 (FLOSS例外条項付き)というライセンスの下に公開しました。(商用の場合は別のライセンスが適用されます。)それにより、誰でも自由にクライアントを改変することが正式に認められようになりました。

つまり、クライアントソフトを改造して、いろいろと便利な機能をつけてもよいことになったのです。ですから、土地を自動で検索してテレポートし、土地を自動で購入する機能を持ったアバターを使用しても、現在の利用規約には違反しないことになります。

しかし、ランドボットの数が増えてくれば、一般の人が割安な土地を購入するチャンスは少なくなります。不動産の売買をビジネスにしている人にとってみれば、死活問題です。

今年の1月末に、公式フォーラムにPrevent autmated land buying!というタイトルのスレッドが立てられました。ランドボットを複数使っているユーザーがおり、それにより、割安な土地を購入する機会が奪われているので、リンデンラボ社にランドボットの使用を禁止してもらうように働きかけようという趣旨のものでした。

それに対して、ランドボットを使用している当の本人が、そのスレッドに投稿を寄せました。彼の主張は、リンデンラボ社がクライアントのソースコードを公開したのは、クライアントソフトの技術的発展を狙ってのことであるから、ランドボットを作って使用することはルールに反しないし、倫理的にも悪くないというものでした。


★ ヒューマンエラーとシステムの不具合に乗じて利益を得ているランドボット使用者がいる

人間は誰でもミスを犯すものです。土地を売却する際に、うっかりして本来よりも安い価格に設定してしまうこともあるはずです。

その場合、その安い価格は、サーバのデータベースに直ちに反映されます。すると、その情報を入手したランドボットがその土地に現れ、売主がその間違った価格を訂正するよりも早く、その土地を購入し、新しい売却価格を設定してしまうのです。

ランドボット使用者のなかにも良心的な人はいるらしく、ミスをしたという事情を話せば土地を戻してくれる場合もあるそうです。

しかし、そうではないランドボットの使用者もいます。そして、何も知らない第三者が、そこに巻き込まれてしまうケースもあります。その実例を偶然耳にしましたので、ご紹介します。

ある男性が、メインランドで土地を購入しました。彼が買ったばかりのその土地を整地をしていると、見知らぬ二人がやってきて、誰からその土地を購入したのかを彼に尋ねた後、その土地は、もっと高い価格で売るはずのものだったから、その価格と彼が購入した値段との差額を欲しいと要求したのだそうです。

彼にしてみれば、まったく筋の通らない話です。その土地は、その二人とはまったくの別人から、相場の値段で購入したものだったからです。当然ながら、彼はその要求を拒否しました。最終的には、相手が感情的になり、汚い言葉を彼に浴びせたそうです。

その後、しばらく経ってから事情が判明しました。その二人は、何らかの原因で、意図していた価格よりも低い価格で、Landbaron Merlinというランドボットに土地を買われてしまったらしいのです。Landbaron Merlinは、購入した土地を相場の価格で売りに出し、それをたまたま見つけたその男性が購入したというわけです。

その男性は、二人からお金を要求されたとき、詐欺か何かだと思ったそうです。何の落ち度も無いのに言いがかりをつけられたような状況で、さぞかし嫌な気分になられたことと思います。

なお、このLandbaron Merlinというランドボットのことは、Second Life InsiderのUI bug costs Second Life user thousands?という記事でも取り上げられています。

その記事によれば、ある女性が、土地を売却するために設定をいじっていたところ、その設定を完了する前に、Landbaron Merlinに土地を安く買われてしまったそうです。

この女性の話が本当だとすれば、価格設定ミスなどの明らかなミスが無い場合でも、何かの不具合に乗じてランドボットが土地を安く買っていってしまうことがあるようです。

また、公式フォーラムで次のような話も目にしました。

ある人が、土地を二つに分割した後、片方だけ売り出すつもりで、その片方に値段をつけて売却の設定にしたところ、なぜか2つの区画がまたもとの一つの土地に戻ってしまい、そして一瞬のうちに、半区画分の値段になっている土地全体がランドボットに買われてしまったとのことです。

それに対して、別の投稿者から、サーバラグだと指摘する投稿もありました。 何のミスもしていないのに、サーバラグのせいでランドボットに土地を安く買われてしまうのだとしたら、本当に恐ろしいことです。

ランドボットに対するリンデンラボ社の対応ですが、1月30日の公式ブログで、同社はランドボットの使用が困難になるようプロセスを、売却の手続きに導入することを考えていることを明らかにしました。しかし、現在までのところ、そのようなプロセスは一切導入されていません。

ユーザーの間では、ランドボットの使用禁止をリンデンラボ社に求める動きも起こっており、4月に入ってからは、No To Land Bots!という署名サイトができています。

人のミスに乗じて利益を図るようなランドボットの使用の仕方は、絶対に許されないことだと思います。

しかし、ランドボットの使用を全面的に禁止することは、技術者たちの新技術の開発意欲を抑制することにつながりますので、長い目で見ると、SL全体にとっては、不利益になるのではないかと思います。

最後に、おもしろいスナップショットが撮れましたのでご紹介します。Landbaron Merlinが売りに出している土地の画像です。広さ880平方メートルの土地が8,254リンデンドルと割安な価格で売りに出されていたものです。


一辺がギザギザになっているほぼ三角形の薄茶色の土地が、売りに出されている土地です。(右端にある、低い看板が立っているあたりは、別の人の土地です。解像度の関係で境界線がはっきり写っておりません。)

その三角形のちょうど中央部あたりに、別の色の土地があるのが確認できると思いますが、この部分はLandbaron Merlinのものではありません。そしてその部分の上空には、大きな看板が立っているのがわかると思います。

つまり、ランドボットであるLandbaron Merlinは、土地単価だけを購入の判断基準にしていたらしく、生身の人間であれば絶対に買わないような、このような土地を購入してしまったようです。

狐と狸の化かし合いみたいなこの状況、将来はどうなるのでしょうか?

注1:セカンドライフを始める時にダウンロードしたソフトのことです。リンデンラボ社は、ビューアーという呼び方をしています。