いつものように情報収集のために海外のサイトに目を通していましたところ、あるエントリーが目に留まりました。
Where In The World is JC Brinks? Missing Information about Touchet Group Corporation and Second Life Investment Bankと題されたそのエントリーは、Second Life Investment Bankという銀行が、家具とATMだけを残して突然消えてしまったことを伝えていました。さらに、その銀行の親会社である、Touchet Group Corporation (TGC)の株式が、World Stock Exchange(WSE)において取引停止になっていることも伝えていました。
Second Life Investment Bankは、上述のTGC社とL&L Rentals and Sales (LLL) とのジョイントベンチャーとして設立された銀行です。LLL社の説明によれば、約500万リンデンドル(約225万円)を上回る資産と、400を超える口座を保有していました。(1米国ドル=268.4849リンデンドル=121.15円)
上の画像は同銀行のウェッブサイトです。(5月10日時点でのスクリーンショットです。)
World Stock Exchange(WSE)のサイトを見てみると、5月9日付でTGC社がアナウンスメントを公表していました。その中で同社は、銀行本社が立地するシムを売却したこと、そして、売却に際し、現状がそのまま維持されることになっていたにもかかわらす、建物と道路が破壊されてしまったことを明らかにしています。
銀行のもう一方の親会社であるLLL社も、5月10日付けでアナウンスメントを発表していました。それによれば、銀行が多大な損失をこうむったことにより倒産状態にあること、そして、現在のところ、TGC社と十分に連絡が取れていないとのことでした。
下の画像は、5月10日に、銀行の本社建物があったとされる場所を訪れたときに撮ったものです。銀行らしき建物は見当たらず、すでにATMも撤去されてしまった後のようでした。
このときに私に話しかけてきた男性は、7万6,400リンデンドル (約3万4,000円)の預金を失ったと言ってました。もちろんアバターですので表情はわかりませんでしたが、何もない野原を目の前に一人でぽつんと立っていたので、ひどく落ち込んでいたのかもしれません。
下の画像は、銀行のATMが設置されていた場所を訪ねたときのものです。看板だけ残っていました。
このような事態を受けて、銀行の預金者たちの間で、Second Life Investment Watchというグループが結成され、情報交換や今後の対応についての意見交換が行なわれていました。
その後間もなく、再び、TGC社とLLL社からそれぞれアナウンスメントが発表され、銀行に何が起こったのかが明らかにされました。それによると、今回の件の概要は次のようなものです。
Second Life Investment Bankに、ある預金者が多額の不正資金を預けました。
一方、何らかの方法でその不正資金の存在を知ったリンデンラボ社は、同社の規約に基づき、その資金を銀行から押収しました。また同時に、不正資金を所有していたアカウント、つまり銀行を代表するアバターのアカウントから、不正資金の50%に相当する金額を罰金として徴収しました。この措置もその規約に基づくものです。これにより銀行は資金難に陥ってしまい、営業停止に追い込まれました。
一方、それとほぼ同じ時期に、銀行本社が立地していたシムがTGC社によって売却されました。その際に、TGCの役員であり、銀行本社などを建設したビルダーでもあるAlysia Deminaという人物が、TGC社のCEOに対する私怨から、銀行本社とシムの公共施設を破壊してしまいました。
つまり銀行の資金難と、親会社の内紛とが時期的に重なってしまい、事態を複雑にしてしまったわけです。
LLL社は、また、上述のアナウンスメントの中で、同社が銀行の経営権を引き継ぎ、銀行名をL&L Bank and Trustに変更した上で営業を再開すること、および既存の預金がすべて保障されることを表明しました。
預金の引き出しについては、新体制が完全に整うまでの間、1日あたりの限度額が設けられたものの、これで預金者は預金を失うことなく済んだわけです。
なお、リンデンラボ社が罰金として徴収した金額を、銀行に返還するかどうかについては、いまのところ不明です。
また、リンデンラボ社が不正資金だとした、その「不正」の内容は一切明らかにされていません。私としては、その辺も大いに興味あるところです。
今回の件は、銀行が第三者の不正に巻き込まれてしまったために起こった出来事で、いわば、銀行も預金者も被害者です。リンデンラボ社が規約に従って、不正資金を押収したのは当然の措置だと思いますが、このように実態を無視した杓子定規な規約の運用の仕方には疑問を抱かざるを得ません。
セカンドライフの住民たちにとって、リンデンラボ社の規約は一種の法律です。今回の件は、インワールドのビジネスに関して、ヴァーチャル世界独特の「法的リスク」とでも呼ぶべきものが存在することを示したといえるかもしれません。
2007年5月25日金曜日
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5 件のコメント:
しかし、LLL社ってのも怪しいですね。
てっきりシーラさんがLL(リンデンラボ)と書くところを間違えてLを一個多く書いたのかと思いましたよw。
KnowProSEのインタビューとか、WSEでのアナウンスメントを見る限りでは、まともなところのように見えましたけど?
http://www.knowprose.com/node/17578
銀行の親会社でしたから、そのまま放置すると自分の会社の信用にかかわることと、LL社が罰金50%を返還したケースがあるということが、watchグループのチャットで出てましたので、今回のケースも罰金を返してもらえると予測しての行動だと思います。
WSEの3文字の略称は、混乱のもとです。
先日の THE LAND LISTの botの件もそうですけど、一般人向けの規約とは違った規約を適用するビジネス用のアカウントなんていうのもルール作りして欲しいところです。
もちろんアカウント作成時にはそれなりの審査をするという前提で。
ビジネス用のアカウントですか・・・。
具体的に、管理規約のどのへんに不自由さを感じていらっしゃるのかがわからないのですが。
リンデンドルの売買限度額が最初から大きい。
加入できるグループの数の最大限度数が、一般人より多い。
altが最初から、何人かついている。
素材のアップロードスピードが速い。
自分のお店のあるシムには優先的に入れる。
特別なビューアをもらえるため、ラグが少ない。
インベントリの容量(上限を知らないのですが)が大きい・・・とかでしょうか?
やっぱ、今度からIMにしよっとw。
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