8月3日のエントリでもお伝えしましたように、7月下旬にWorld Stock Exchange(WSE)は新システムであるWE3.0を稼動させました。しかしそのシステムにかなりの不具合があり、まともに取引が行えない状態であったため、それに不満を抱いた上場企業9社がWSEから他の株式市場に、自社銘柄を移してしまいました。
そして、そのうちの8社の移動先がInternational Stock Exchange(ISE)でした。
★ISEがオークションに
ISEは、セカンドライフにある3つの株式市場の中では一番規模の小さな市場であり、8社が移ってくる前は、1日の取引高が10万リンデンドルに満たないことがほとんどでした。しかし8社が移ったことで取引高が大幅に増加しました。
そのような中、8月19日にISEのCEOであるCocky Daggerが、ISEをオークションによって売却することを発表しました。入札締め切りは8月21日。ただしオークションといっても最高額入札者が必ずしも購入できるわけではなく、Cocky Daggerを除く、ISEの株主たちの投票による承認が必要とのことでした。
売却の理由は、"I am spreading myself too thin with the ISE. "、つまり、ISE運営に関わる仕事量が多すぎて、十分に手が回らないからだそうです。
なお、売却対象となったISEの内容は次のとおりです。
資産 (単位:リンデンドル)
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現金 160万
預金 78万
有価証券 18万
ホストサーバのレンタルの権利4か月分
ソフトウェア-ウェッブサイト、ATMのコード、インワールドの取引システム、ティッカーのコード
土地 2,500平方メートル
広告の前払い費用 3万5000
負債
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預り金 200万
不祥事に対応するための保険としての積立金 17万6000
当月の予想収支
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収入 35万
費用 10万
上記の予想収支を見ると、費用の中にまともな人件費が含まれてるとは思えません。どうも、今までCocky Daggerが無償で運営していたようです。もちろん、利益は株主に配当されますので、大株主であるCocky Daggerはその利益の大部分を受け取っていたでしょう。しかし、上記の予想収支から算出される利益は25万リンデンドル、日本円で約11万円。運営にかかる手間と時間を考えると、割りに合わない金額だったのかもしれません。
★ISE版Rule 144の実施とその反応
オークション実施の発表後、しばらくしてから、Cocky Daggerはさらに、ISE版Rule 144を実施すると発表しました。
ISE版Rule 144とは米国証券取引法第144条の趣旨を受け継いだもので、一般投資家保護のため、上場企業のCEO等が保有する株式の取引を規制するものです。
その具体的な内容ですが、もし、あるアバターがそのIPアドレスから、上場企業のCEOのアルト(注)であると判明した場合には、そのCEOとアルトの過去10日間の取引を公表するとのことです。
(注:セカンドライフでは一人の人が複数のアバターを持つことが可能です。その場合、メインのアバター以外のアバターをアルトと呼んでいます。)
つまり、このRule 144を実施することにより、インサイダー取引を防止するとともに、アルトを使った不正な株価操作を防止しようというわけです。
Cocky Daggerは、Rule 144の実施が投資家たちのからの強い要請によるものであることも明らかにしています。
ところが、このRule 144実施の発表後、上場企業のうちの6社がISEから離脱し、新しい株式市場であるVSTEXに移る意思を表明しました。ただし、これら6社のうち、離脱の理由をRule 144の実施にあるとしたところは1社もありません。ある企業は、オークションの方法に同意できないことを理由にし、またある企業は離脱の理由を一切明らかにしませんでした。
ところで、この6社は、7月末から8月初めにかけてWSEからISEに移動してきた8社のうちの6社です。ですから、ISEには約3週間上場しただけで、別の株式市場に移ることになったわけです。
オークションの締切日である8月21日には、ISEの集会が開かれました。その席上でCocky Daggerは、6社の離脱によって状況が大幅に変化したことを理由に、オークションの中止を発表し、またCEOとして今までどおり運営を続けることを明らかにしました。
結局ISEからは、上場企業・IPO企業併せて19社のうち6社が離脱しました。そのためその後、ISEの取引額は大幅に落ち込み、取引額が10万リンデンドルに届かない日々が続いています。
Cocky Daggerは、株式市場の透明化に努めている点でかなり評価されているようですが、ISEの規模自体が小さいため、このまま存続できるのかどうかが心配です。
なお、離脱した6社の移動先であるVSTEXですが、イタリアの会社が運営しているらしく、また同サイトによれば、セカンドライフ初の、コミュニティベースの株式市場だということです。サイトを見ると、同市場の運営を行っているVstex Companyが8月5日にIPOを開始したとのことなので、その時がVSTEXのオープンだと思われます。
またこの原稿を作成している時点で、すでにISEから離脱した6社のうちの5社がこの市場に上場していました。(残りの1社の動向は不明です。)
VSTEXに上場したのは次の5社です。
AVC - Atlas Venture Capital
CGI - Countless Galaxies
BHE - Bart Heart Estates
VHI - Valentine Heart Inc.
KFM - Kristatos Fashion Mall
ところで、このVSTEXの件については、全然情報が流れてきていませんでしたので、正直驚きました。イタリアの会社が運営しているとのことなので、その辺が原因なのかもしれません。このVSTEXについては、後日カバーするつもりです。
★SL Capital Exchange(SL CapEx)が預金利率の引き下げを発表
SL CapExにある各投資家の口座が、銀行であるJT Financialの口座と統合され、その結果、口座の現金残高に日利0.15%(年利換算72%)という高い金利が適用されることになったことを、以前のエントリでお伝えしました。
しかし、8月23日、SL CapEX/JT Financialは、その金利を日利0.12%まで引き下げることを発表しました。理由は、預金量が最近、急に増大したからとのこと。金利改定実施日は9月3日です。
また、同社は長期戦略にも言及し、金利を年末までに0.1%まで引き下げること、その一方で少額預金者優遇の金利を設定することを明らかにしています。
さて、預金量の増大に合わせて、預金金利を引き下げたとのことですが、それでも改定後の金利を年利換算すると54%にもなります。SL CapEX/JT Financialに預金をされる方は、この点に注意が必要だと思います。
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