リンデンラボ社のCEOであるPhilip Rosedaleがロイターとのインタビューで、なかなか興味深いことを話していましたので、重要だと思われるところを拾ってみました。
1. Linden is roughly profitable.
「リンデンラボ社は大雑把に言って儲かっている。」
リンデンラボ社が倒産でもしたら、リンデンドルは一気に無価値になってしまう可能性があります。また、セカンドライフ内の各個人の資産が失われてしまう可能性もあります。ですから、ユーザとしては、リンデンラボ社の財務状況が大いに気になるところです。
公開企業ではないので、財務状況の情報開示をする必要がなく、本当のことを言っているのかどうか疑問は残りますが・・・。
2. By far the largest source of income to Linden Lab is the sales and the tier fees.
「リンデンラボ社の最大の収入源は(土地の)販売と土地使用料である。」
私がいつもチェックしている、On Off and beyondというブログに、リンデンラボ社の収入源別に総収入を推計をしたグラフが掲載されています。上記のPhilip Rosedaleの言葉は、その推計のグラフと一致するようです。
ソース:「On Off and beyond [渡辺千賀]テクノロジー・ベンチャー・シリコンバレーの暮らし」より転載
3. 土地ビジネスが最大の収入源になっているにもかかわらず、サーバのオープンソース化を目指していることを尋ねられて
We believe we can reasonably make money — barely make money — by just charging access to the system.
「システムへのアクセス料金をとることで、まあまあ金儲けができると思っている。」(barelyの部分は、「かろうじて、どうにかこうにか」の意味ですが、ここでの意味が良くわからないので省略してます。どなたかご教示を。)
リンデンラボ社は、サーバのオープンソース化後、各企業や各個人が独自に設置したサーバを、もし、希望があればリンデンラボ社のシステムと接続し、その接続料を取るとのことです。
人々に何かを売りたいと考えている企業であれば、オープンソースによって独自に設置した自社サーバを、ユーザが多数いるところ、すなわちリンデンラボ社のサーバのネットワークとリンクしたいと考えるであろうということも、Philip Rosedaleは述べています。
ところで、最近、リンデンラボ社は、メインランドの土地を大量に新規造成し、それをオークションで売り出しています。その結果、メインランドの地価がかなり下がりました。
Second Citizenというフォーラムの土地に関するスレッドを見てみると、6月中旬には、いちばん安い土地の土地単価が1平方メートル当たり10リンデンドル前後でした。しかし、今日、8月28日には、それが6.1リンデンドルまで低下しています。
つまり、地価を大幅に引き下げることによって、アクティブユーザ数を増加させ(注)、十分なユーザ数を確保した上で、サーバをオープン化する戦略だと思われます。
(注:ユーザが土地を購入すれば、セカンドライフにコミットする度合いが高くなると考えられます。)
4. システムの信頼性について
We need to get to the place where Second Life is as reliable running on your PC or a Mac as an Internet browser.
「セカンドライフ(のシステム)の信頼性が、インターネット・ブラウザ並みに高まる必要がある。」
この発言にも関連しますが、8月24日から26日にかけて、シカゴでSecond Life Community Convention 07というイベントが開かれ、その基調講演で、Philip Rosedaleは最初に、システムの信頼性が低いことを謝りました。
バグの修正と新機能の導入とのどちらが重要かとのロイターの質問に対しては、バグの修正と答えています。ボイスの導入が済んだので、他に必要不可欠な重要機能はないと考えているとのことです。
なお、上述の基調講演の中で、開発のスピードを重視したために信頼性がおろそかになったことを認めており、また、その後規模が拡大し、いまは転換点にいるとも述べています。
5. リンデンラボ社の株式を公開するつもりがあるかどうかを尋ねられて
No. We’re profitable now and sustainable, ...
「ない。リンデンラボ社は今、利益が出ているし、このままやっていける。」
6. 現実社会の法とセカンドライフ内の規制の関係について
将来、ユーザの国籍によって、そのアバターのセカンドライフ内での行動が規制されるようになるかもしれないとのことです。
7. 今後6ヶ月間の最重要課題はと尋ねられて
Quality. We’re at a place where we’ve demonstrated that the virtual world can exist. Now we need to make it high quality so it does continuously support the activities and desires of the people who are using it.
「クオリティ。リンデンラボ社は、ヴァーチャルワールドが存在し得るということを(世間に対して)すでに示した。今は、ユーザの活動と願望に常に応えられるように、このヴァーチャルワールドのクオリティを高めることが必要だ。」
このインタビューを読んだ感想ですが、リンデンラボ社はユーザ重視の方向に変わってきたようです。
オープンソース化後の戦略を睨んでのことかもしれませんが、最近の登録者数の伸び率の鈍化、また、おそらく定着率が低いことに危機感を抱いたのかもしれません。
ところで、リンデンラボ社は最近、日本でPR担当の企業を雇ったそうです。ユーザ重視の姿勢に変わってきたのであれば、上述のSLCCでの基調講演の翻訳文ぐらいは出してもらえないのかなとも思います。やはり、リンデンラボ社のCEOが何を考えているのかを知ることは、セカンドライフで何かをしようとするときに、とても重要なことだと思いますので。
2007年8月28日火曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
3 件のコメント:
DBの相互運用や認証関連はサーバーのオープンソース化のさらに次のステップですね。このあたりでうまい仕組みができると仮想世界間の相互接続、、、なんて可能性も現実味を帯びてくるような。難しい話ですが楽しみですね。
日本のPR担当企業ってここのことかな。
http://inoueblog.com/archives/2007/08/dpr.html
nock foragerさま
仮想世界間の相互接続は、いずれは実現するのではないかと思っています。でもそうすると、ユーザが他の世界へ行くときには、通行料とか取られるのかしら・・・。
keimarさま
はい。そのとおりです。
コメントを投稿