2007年7月29日日曜日

セカンドライフ初(?)の銀行取り付け騒ぎ・・・Ginko Financial

Ginko Financialという銀行が、かなり高い預金金利を支払っていることを知り、それについてわかったことを、このブログで以前お伝えしました。

関連エントリー:セカンドライフ最大の銀行、Ginko・・・その1
http://sheila6225.blogspot.com/2007/03/ginko1.html


★預金引出しの一時停止

その後Ginkoは、ニュースでとりあげられることもなく、平穏無事に営業を続けてきたようです。ところが、7月27日(PDT)朝、預金引出し量が通常よりも増加し、そのためGinkoは資金不足に陥ったらしく、預金引出しを全面的に停止しました。

ソース:
Ginko Financial Suspends then Limits Withdrawals; Head ‘Nicholas Portocarrero’ Calls it a “Bank Run,” Tells Depositors to “Calm Down”
http://virtuallyblind.com/2007/07/27/ginko-financial-suspends-then-limits-withdrawals/

UPDATE 1 - Second Life bank caps withdrawals amid panic
http://secondlife.reuters.com/stories/2007/07/27/ginko-financial-under-fire-caps-withdrawals/

その後、しばらくして、預金引出しは再開されましたが、1日当たりの限度額は5,000リンデンドル(約2,200円)に制限されました。

預金者の1日当たりの引出し限度額は、これまで、30万リンデンドル(約13万3,000円)でした。ですから、かなり厳しい制限になっています。

また、その後も限度額の変更は続き、一時、2万5,000リンデンドルまで引き上げられたものの、また5,000リンデンドルに引き下げられ、現時点(日本時間7月29日15:24)での限度額は1万リンデンドル(約4,400円)となっています。

Ginkoは、その公式サイトで、早急に、引出し限度額を30万リンデンドルに戻すことを明らかにしています。


★預金引出し停止の背景

リンデンラボ社が、ギャンブル禁止の新方針を発表したのは、7月25日(PDT)のことでした。この新方針より、カジノが廃業を余儀なくされ、そのため、地価の低下等、SL経済全体への悪影響が予想されます。

(ギャンブル禁止の新方針については、Soraさんのサイト:SL総合研究所をご参照ください。)

また、当ブログでもお伝えしたとおり、WSEへのハッキングが明らかになったのは、その前日、7月24日のことでした。

そのため、リンデンドル自体への信用度が低くなり、リンデンドルから早めに他の通貨に換えようとした人が、預金引き出しを行なった可能性があります。

また、Ginko自体への信用度がもともと低かったことも、今回の騒動の背景になっていると思います。

Ginkoは現在も0.1%(日利)の預金金利を払い続けています。複利で計算すると、年利に換算して約44%です。これだけの金利を支払うためには、銀行自体が何らかの手段で収益を得る必要がありますが、Ginkoはその経営実態を十分に情報開示してはいません。

ですから、Ginkoの支払能力に日頃から不安を感じていた預金者が、上記2つの出来事をきっかけとして、預金引出しに動いたのかもしれません。


(8月2日追記:上記の金利の数字が間違っておりました。すみません。Ginkoは6月16日に金利を0.09%から0.13%に引き上げました。年利換算では約60.7%になります。)


★おまけ

Ginkoは、宝くじ事業も行なっていました。今回のギャンブル禁止方針により、Ginkoはその事業から撤退することになり、公式サイト上で、その旨の告知と、最後の当選者の発表を行なっています。

その最後の当選者は、Thurston Hallard。

そして、このThurston Hallardは、WSEにハッキングを行なったとされている人物です。「歴史の皮肉」という言葉がまさに当てはまりそうな出来事に感じられました。


2007年7月25日水曜日

World Stock Exchange(WSE)、ハッキングされる

昨日、かなり遅い時間にSLにログインしたところ、SLWatchさんから、WSEがハックされたらしいという情報を頂きました。すぐにWSEのサイトを見てみましたが、公式発表は何もありません。しかし、WSEのグループチャットでは、ハッキングに関するチャットが盛んにやり取りされていました。

情報の発信元は、MDS (Mystik Designs) という上場企業のCEOであるMystik Boucherのブログでした。それによれば、WSEのシステムがハッキングされ、320万リンデンドル(約143万円)が盗まれたとのこと、また盗んだ人物は、MDS の元取締役会会長であるThurston Hallardではないかとのことでした。

また、先週の土曜日(7月21日)から、Mystik Boucher自身のアカウントもリンデンラボ社によって一時的に停止されており、Mystik BoucherとThurston Hallardの間でお金のやり取りがあったことから、それが一時停止の理由になっているのではないかとのことでした。

7月25日には、WSEがハッキングの件について、公式発表を行ないました。主な内容は次のとおりです。

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WSE3.0へのアップデートのための休止期間に入る直前、登録直後のアバターが大量の資金を引き出したことにWSEは気がついた。そのため、直ちに市場をクローズし、調査を開始した。

この件に関わっていたのは、Hope Capital(WSEの親会社)の元従業員のようである。その人物は、ATMのバグの修正作業に携わったことがあり、ATMの通信チャンネルに関する内部情報を知っていた。

この件には複数のアバターが関わっているが、おそらく同一人物によって操作されているものと思われる。さらに詳しい情報は、追って公開する。
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WSE3.0と名づけられた新システムでは、ATMシステムのセキュリティが強化され、また、リンデンラボ社が提供しているRisk API(お金に関するセキュリティシステム)が導入されることになっていました。そのため、アップデート前を狙って、今回のハッキングが行なわれたのではないかということも、WSEは明らかにしています。

現在のところ、WSEは被害額を明らかにしていません。また、休止期間は、当初の予定では7月24日午後12時(PDT)まででしたが、7月25日午後12時(PDT)まで延長されました。

なお、前述のMDS (Mystik Designs) のCEOであるMystik Boucherのアカウント停止措置は、すでに解除されたとのことです。

法律も警察もないSLの世界で、盗まれたお金は取り戻せるのか、また、住民間のトラブルには不介入の姿勢をとっているリンデンラボ社が、今回の件でどのような動きを見せるのか、この事件の今後の展開に大いに興味が湧きます。

2007年7月19日木曜日

セカンドライフ規制強化の動き・・・その後、その1

5月31日にリンデンラボ社はその公式ブログで、児童ポルノ、性的暴力行為、暴力行為、その他露骨に不快感を与えるコンテンツに関する同社の方針を明らかにしました。

(参考エントリー:セカンドライフの規制強化の動き

その後、この規制を巡り、さまざまな動きがありましたのでご紹介します。


★規制に反対する住民の運動

リンデンラボ社は、従来の方針を変更したわけではないと主張していますが、住民側の受け止め方はこれとは異なり、規制強化、すなわち自由な活動の幅を狭めるものとして捉えました。そしてこの方針に抗議して、住民の間で次のようなグループが結成されました。

BDSM is Safe - BDSM is Not Abuse
I am for a FREE Second Life
National Coalition Sexual Freedom
First They came For...
SL Society for Expressive Freedom
Stop the Oppression
Ladies in Self Bondage
The Broadly Offensive
Moral Majority  など。

抗議活動の具体的な内容ですが、上記のI am for a FREE Second Lifeグループの場合は、自分のプロフィールの最初の部分に"I am for a FREE Second Life!" という文言を掲示する、自分の土地に抗議文の書かれた看板を設置するということを行なっています。

さて、6月初旬には、いくつかのグループを取りまとめるような形で、上部組織として、United Protestという団体が結成されました。

同団体のミッション・ステートメントには、次のように書かれています。

... aimed at keeping Second Life free from censorship and keeping it a world with full freedom of expression ...

つまり、検閲の存在しない、表現の自由があるセカンドライフにすることが同団体の使命だそうです。

ところが、設立後間もなく、United Protestの代表者であるJazhara Keonは、pedophile(幼児性愛者)であると自らの性的嗜好を明らかにした人物をグループから除名し、同時にリンデンラボ社にAbuse Report(通報)しました。

このことは同団体の公式ブログのUnited Protest *against* pedophilia(United Protestは小児性愛に反対)という投稿の中で明らかにされました。

これに対しては、幼児性愛という性的嗜好と実際の幼児虐待とは区別されるべきものであり、United Protestの取った措置は間違っているという非難の声がコメント欄に寄せられました。

この非難に対して、Jazhara Keonは次のように答えています。

As United Protest though, we may not be affiliated or associated with pedophilia, simply because it will endanger the whole operation legally.

You state: "...there is a HUGE distinction between pedophilia (legally permissable victimless thought) and child molestation (illegal and prohibited victimising action)..."That, we are fully aware of. I don't judge a pedophile, I don't automatically assume a pedophile is a childmolestor. That would be presumptious, and prejudiced. I do encourage preventive measures though, and hence point out to the proper authorities that they should be aware and vigilant. (In this case Linden Lab, since I do not know who the man is RL).

つまり、グループの中に小児性愛者が混じることは、この活動全体を法的リスクにさらすことになる、また、性的嗜好としての幼児性愛と、実際の行動としての児童虐待の間に大きな区別があることは理解しているが、犯罪の未然防止策として、当局(この場合リンデンラボ社)に通報したとのことです。

組織の安泰のために、危険分子は早めに排除するということなのでしょうが、ドイツのマスコミからエイジプレイのことでつつかれた後、規制強化の方針を明らかにしたリンデンラボ社のやり方と方向性が一緒であるような気がします。

この件で、どのくらいの人々がこの運動から離れたのかは定かではありません。United Protestは、その後も、ロビン・リンデンとの会談、抗議文書への署名活動等を続けています。

なお、Open Letterと題された抗議文書に署名した人の数は、今日現在で419名でした。同団体に属する、BDSM is Safe - BDSM is Not Abuseグループのメンバー数が1,093名、I am for a FREE Second Lifeグループのメンバー数が906名ということから考えると、運動があまり盛り上がってないような気がします。

2007年7月16日月曜日

Woodbury University シムの閉鎖

7月初頭、一つのシムがリンデンラボ社によって閉鎖されました。シムの名前はWoodbury University。

シム管理者であるTizzers Foxchaseに送付した通知の中で、リンデンラボ社は閉鎖の理由を次のように説明しています。

Woodbury University シムは不適切に使用されており、4月16日にその件について通知したが、その後も利用規約に違反する活動が行なわれている。Woodbury University グループのメンバーの多くが、グリッド攻撃、人種差別、不寛容な行動、他の住民に対するハラスメント行為を行い、不適切なスクリプトの使用によりWoodbury Universityシムをクラッシュさせた。従ってリンデンラボ社は直ちに同シムを閉鎖する。(ソース:Second Life Herald

Woodbury Universityはロサンゼルス郊外にある大学です。同大学のMedia, Culture, and Design 学部は2007年春にCO-3714 Virtual Worldsという講座を開設しました。この講座は、インターネット文化を学び、メタバースを通じてそれに触れることを目的としたものです。

Woodbury Universityシム自体は3月にオープンし、Communications学科の広告費からその費用が支払われているとのことなので、この講座と連動して作られたものだと思います。

大学に関係したシムが閉鎖されたと聞いて、私は最初、驚きました。しかし、いろいろな情報をかき集めてみると、閉鎖に至るまでには複雑な事情があったようです。

以下はSecond Life Heraldに掲載された7月8日付の記事からの情報です。情報の発信者は、同シムの元ビジターであるJanelle Kyomoonという人物です。

Woodbury Universityシムには、当初、講堂のほかに学生用のサンドボックスが開設されました。しかし、学生たちはそこを物づくりの場としてではなく、文化的な活動の場として利用し始め、4chan.orgに投稿された画像をサンドボックスに掲示したりしてました。同シムは、一般の人にもサンドボックスを開放していたため、そこに一般の4チャンネラーが集まり始め、やがて、セカンドライフのグリファー集団であるPatriotic Nigraもそこに集まるようになりました。

(今春、John Edwards候補の事務所が襲撃されましたが、それを実行したのがPatriotic Nigraではないかと言われています。ソース

4月初旬、セカンドライフの私設警察組織であるJustice League Unlimitedが、Patriotic Nigraが同シムを乗っ取ったものと思い込み、リンデンラボ社に通報しました。それを受けて、リンデンラボ社は同シムを削除してしまいました。

それを知った大学側はリンデンラボ社に電話で事情を説明し、同シムは再開されました。ただし、建物は削除されてしまい、復元されませんでした。

その後、大学側は、グリーファーたちを排除するために、Woodbury Universityグループを創設し、そのグループメンバーだけに、ビルドとスクリプト作成の権利を与えました。

以上が、同シムの元ビジターからの情報です。

また、Second Life Heraldは、7月3日付でWoodbury UniversityのMedia, Culture, and Design 学部のdeputy director(副学部長)、そして コミュニケーション学科のChair & Associate Professorでもある、Dr. Edward Cliftのインタビュー記事を掲載しています。

その中で、Dr. Cliftは、大学側は土地使用料を6か月分前払いしており、その返金はまだないこと、4月中旬に問題行為についての警告を受けたあとは、4月後半にシムを閉鎖するというthreat(脅迫)の電話メッセージをリンデンラボ社から受け取ったが、その後は何もアクションがなく、またその直後に請求書が送られてきたので、問題ないものだと思っていたことを明らかにしています。また、今回のリンデンラボ社の措置は、SL内に大学を招いておきながら、大学らしい活動をすることを制限したものであり、不合理だとも述べています。

一方、Second Life Hearldは7月10日付の記事で、大学側とグリーファー集団のPatriotic Nigraはつながっており、大学がグリーフィングに関する社会科学的実験をしていたのではないかという疑惑を報じています。

相矛盾する情報が存在し、何が真実なのか掴みにくい状況です。ただこれらの情報から、次のような問題点が浮かび上がってきます。

1. シムのオーナーは、そのシムに存在する人々の行動にどこまで責任を負うべきか? そしてその責任の取り方は?

問題行動を起こしたのは個人です。ですから、その個人のアカウントを停止すればよいと思うのですが、シム自体を削除したということは、リンデンラボ社が、シムのオーナーにその問題行動の責任を負わせたことになります。

もちろん、シムのオーナーたちは、自分のシムが平和に運営されるように、ある程度の責任を負うべきとは思います。しかし、24時間、自分のシムを監視するのは不可能です。突然グリーファーがやってきて、破壊的なスクリプトを使ってシムをクラッシュさせたような場合、それを未然に防ぐのは不可能です。

シムのオーナーも、リンデンラボ社側も、シムが平和に運営されることを望んでいるわけですから、シム閉鎖という強硬手段を取るのではなく、双方が協力して、問題行動を排除していくような方策が取れたのではないかと思います。

2. シム閉鎖に至るまでに、リンデンラボ社側の対応に問題はなかったのか?

1度目の閉鎖は、私設警察組織であるJustice League Unlimitedの通報をきっかけとして行なわれたものですが、リンデンラボ社は、Justice League Unlimitedの言い分を鵜呑みにしてシムを閉鎖してしまったようです。閉鎖する前に、オーナー側の言い分を聞くべきだったのではないでしょうか?

2度目の閉鎖については、情報が十分ではないため、よくわかりません。ただ、Dr. Cliftがインタビューの中で、「4月後半にシムを閉鎖するというthreat(脅迫)の電話メッセージをリンデンラボ社から受け取った」と述べています。彼がthreat(脅迫)という言葉を使用したことから推測して、1度目の閉鎖の時に、何か感情的な行き違いがあったのかもしれません。1度目の閉鎖のとき、大学側は建物を失っており、実質的に損害を被っています。それに対する補償が何もなかったのかもしれません。

3. シムをクラッシュさせたことは、利用規約違反にあたるのか?

2度目の閉鎖の時に、リンデンラボ社は、シムをクラッシュさせたことを理由の一つに挙げています。このシムで、どのようなスクリプトが使用されたのかは定かではありませんが、スクリプトが不適切なのではなく、インフラの方が貧弱なのではないでしょうか。

例えが極端かもしれませんが、非常に壊れやすい商品を提供しておいて、消費者が普通の使い方をしていてその商品を壊してしまった場合に、壊れた責任を消費者に押し付けるようなものかもしれません。

Woodbury Universityシム閉鎖の件については、また新しい情報が出たときにお伝えします。

2007年7月12日木曜日

リンデンラボ社発表の6月のKey Metricsより

セカンドライフの公式ブログで、6月のKey Metricsが発表されましたので、その中からいくつかの項目をピックアップしてご紹介します。

★住民数、ユーザー数、プレミアム会員数の推移

6月末の住民数は772万9,655人でした。住民数というのは個々のアバターの数です。一人のユーザーが複数のアバターを持つ場合あります。

6月末のユーザー数は522万4,582人、 プレミアム会員数は9万4,607 人でした。
プレミアム会員数だけの推移を表わしたグラフは次のとおりです。
対前月比の伸び率は、住民数が12.7%、ユーザー数が19.5%、プレミアム会員数が5.3%でした。対前月比の伸び率を先月と比較すると、住民数とプレミアム会員数が低下、ユーザー数は上昇しています。

★性別比(アカウント登録時に申告した性別)

アカウント数による男女比の推移は次のとおりです。

6月は男性が74.55%、女性が25.45%でした。

利用時間による男女比の推移は次のとおりです。

6月の男女比は男性が57.23%、女性が42.77%でした。

女性が人数では25.45%しか占めていないにもかかわらず、利用時間でみると42.77%も占めているのは、やはりショッピングが、女性の主な楽しみの一つになっているのではないかと思います。

★国別
 
国別のアクティブ・レジデンツ(過去1ヶ月間のログイン時間が1時間を超える住民)の上位10カ国は次のとおりです。
日本のアクティブ・レジデンツの数は2万7,040人。人数では第6位を占めています。前回の9位から上昇しました。利用時間数でも今月は第6位。先月の9位から順位を上げています。 
 
アクティブ・レジデンツの合計は、人数が49万4,981人、利用時間数が1,891万6,338時間でした。対前月比は、人数が2.5%の減少、利用時間数は4.0%増加となっています。
 
★マネーサプライ
6月末のマネーサプライは、30億2,177万3,957 リンデンドル、日本円に換算して 約 13億7,700万円でした。
(1米国ドル=267.6594リンデンドル=121.94円)

対前月比の増加率は6.7%でした。対前月比の増加率は、12月をピークに低下傾向が続いています。

★リンデンドルの為替市場(LindeX) 
 
リンデンドルの為替市場(LindeX)の取引高の推移は次のとおりです。

6月のリンデンドルの為替取引高は18億2,506万5,780リンデンドル、日本円にして約8億2,800万円。対前月比で0.7%の減少となりました。

リンデンラボ社の新規発行売却高は1億6,183万6,659リンデンドル(約7,400万円)。対前月比で23.3%の増加となりました。

前回のエントリーでお伝えしましたように、インワールドでの支出の推計総額は、6月はそれほど伸びていませんでした。また、住民数、プレミアム会員数の伸びも鈍化傾向にあります。このような中で、リンデンラボ社の新規発行売却高が増加したというのは、非常に不思議です。なにか特殊要因があるのかもしれません。

★土地



6月末の土地の合計面積は、712.60平方キロメートル。うち、メインランドが166.59平方キロメートル、プライベートアイランドは546.01平方キロメートルでした。

対前月比の増加率で見ると、全体では9.4%の伸び。メインイランドの増加率が4.1%、プライベートアイランドの増加率が11.1%でした。メインランド、プライベートアイランド共に、対前月比の増加率は、前月より低下しています。

2007年7月10日火曜日

6月の統計から・・・ビジネスオーナーたちが稼いだ利益と住民たちの支出

★インワールドのビジネスオーナーたちが得た利益の推定総額

セカンドライフ内での経済活動の動向を見るため、リンデンラボ社が発表しているEstimated In World Business Owners というデータを用いて、ビジネスオーナーたちがセカンドワールド内で得た利益の総額を推計してみました。その推移を表したのが下のグラフです。比較のため、住民数の推移も表示してあります。


6月の推定額は429万2,390米国ドル、約5億3,000万円でした。(1米国ドル=123.46円=270.1674リンデンドル)

グラフからもわかるとおり、4月以降伸びが鈍化し、6月もその傾向は変わりません。6月の対前月比の増加率は0.8%でした。

また、月間に5,000米国ドル超の利益を得たユーザー数は、5月は139人でしたが、6月は132人と減少しました。

推計方法は次のとおりです。Estimated In World Business Ownersでは、月間の収入がプラスとなったユーザーを、その額に基づいて9つの層に分け、その層毎に該当する人数を示しています。

そこで、各層の中央値にあたる金額とその層に属する人数を掛け合わせた金額を層ごとに算出し、その後、全部の層の合計を出しました。

なお、最高額の層は利益が5,000米国ドル超となっており、中央値はとりようがありませんので、便宜上、この層に属する人々の利益の額を5,000米国ドルとして計算しました。

Estimated In World Business Ownersで利益として計上されるものには、土地売買からの利益は含まれていません。またリンデンラボ社がユーザーに課す各チャージの控除前の金額です。

なお、上述の推計方法の説明から明らかなように、最上位層に属する人々のばらつきにより、推定の精度が大きく影響を受けます。この点をご了解ください。最上位層の人々の利益の合計額が全体に占める割合は、5月は約15.4%でした。


★住民たちのインワールドでの支出の合計額

Monthly Spending by Amountのデータを基に、上と同様の方法で、セカンドライフの住人たちが、インワールドで支出した金額の月間合計額を推計してみました。下がその推移を表したグラフです。


6月における、住人たちの支出の推定合計額は、約55億1,758万リンデンドル、日本円にして約25億2,100万円になりました。

6月の対前月比の増加率は1.4%でした。5月の増加率は-0.1%でマイナス成長となってましたので、6月は増加に転じたわけですが、上述のように推定精度に限界がありますので、誤差の範囲かもしれません。

元データであるMonthly Spending by Amountは、各住民を月間支出額に基づいて9つの層に分け、その層毎の該当人数を示したものです。最上位の層は、月間支出額が100万リンデンドル(約46万円)超。この層に属する住民は、5月は834人でしたが、6月は856人と増加しています。


★インワールドからリアルワールドへの経済の拡大

現在、日本人居住区が続々と登場しています。それらの居住区の大部分は、土地のレンタル料を日本円で徴収しています。

SLには、米国人以外の住人も多数目に付きますが、例えば、ドイツ人運営のシムとかブラジル人運営のシムなどでも、日本人居住区と同じように、現地通貨建てで土地のレンタル料を徴収しているところがあるかもしれません。

ところで、土地を、リンデンドル建てでレンタルした場合には、上記の「住民たちのインワールドでの支出の合計額」という統計に入ってきますが、それ以外の通貨建てでレンタルした場合には入ってきません。

つまり、インワールドでの支出の合計額の伸びの鈍化の一つの要因として、SLの外でのお金のやり取りがより頻繁になってきていることが考えられます。

今のところ、円建ての取引は、日本人居住区については土地のレンタル料しかないようですが、将来、高額な物品の取引が行なわれるようになった場合には、物販においても、SLの外で、円建てでの決済ということが行なわれるようになるかもしれません。高額な物品というものが出現するかどうかが問題ですが・・・。

2007年7月9日月曜日

セカンドライフの土地・・・メインランドのオークション(6月)(続き)

前回のエントリーの追記で紹介した、40シムのオークションですが、現地時間7月8日(PDT)に終了しました。

40シムの平均落札価格は2,715米国ドル。最低落札価格は2,134米国ドル、最高落札価格は3,260米国ドルでした。

ただし、最低落札価格の2,134米国ドルで落札されたシムの面積は、60,944平方メートルでした。フルの広さ(65,536平方メートル)を備えたシムに限った場合、最低落札価格は2,423米国ドルでした。

平均落札価格は、6月の水準を維持といったところかと思います。

なお、小規模区画のオークションもすべて終了し、今現在、オークションの物件は、またゼロの状態になりました。

2007年7月6日金曜日

セカンドライフの土地・・・メインランドのオークション(6月)

RLの事情でしばらく更新が滞っていました。すみません。
 
★落札価格の推移(シム単位またはそれに準じた広さのもの)
 
リンデンラボ社がメインランドで新規に造成した土地は、オークションで米国ドル建てで売却されます。(1シムに相当する広さ6万5,536平方メートルのもの、またはそれに準じるもの)
 
7月1日までに終了した米国ドル建てオークションの落札価格を表わしたものが次のグラフです。赤のラインがその月の落札価格の幅を示したものです。青のラインが平均落札価格です。


ソース:Second Life Auction Statistics
 
月ごとのオークション個数は次のようになっています。

ソース:Second Life Auction Statistics
 
平均落札価格は、5月までは下落してましたが、6月には上昇しています。最低落札価格も上昇しました。オークション個数の方は、5月は229シム、6月は127シムと、6月の供給量はかなり減っています。
 
あまりにも落札価格が低下すると、採算割れ(サーバの増設コスト・維持管理コストを下回る)になりかねませんので、その辺のところを考慮して、リンデンラボ社は6月の供給量を抑えたのだろうと思います。
 
ちなみに、1シムの土地の毎月の使用料は、プライベートアイランドの場合が295米国ドルなのに対し、メインランドの場合は195米国ドルです。プライベートアイランド(1シム)の購入費用は1,675米国ドルです。
 
ところで、6月23日頃から、土地のオークション物件が1件もないという状態がしばらく続いてました。
 
1,024平方メートルなど、狭い面積の土地はリンデンドル建てでオークションにかけられるのですが、そちらの物件もすべてなくなってしまいました。(これらの土地は、元の所有者が放棄したものなど、何らかの事情でリンデンラボ社の管理下に入った土地です。)
 
6月30日頃には、再び、米国ドル建てのオークション物件が出ましたが、リンデンドル建てのオークション物件は、未だに1件も出ていません。
 
このような状態は、私の知る限りでは、最近はなかったと思います。リンデンラボ社の経営方針に何か変化があったのかもしれません。

7月7日14:03追記:リンデンラボ社が、一気に40シムの土地をオークションに出しました。私が先に書きました、リンデンラボ社が落札価格の低下を防ぐために・・・という私の推測は間違っていたのかもしれません。リンデンラボ社は、メインランドの土地の小売価格を引き下げることによって、プレミアム会員の拡大を狙っているのかもしれません。

7月8日11:35追記:オークションに、リンデンドル建ての物件(小規模の区画)が9件出されています。

関連エントリー:
セカンドライフの土地・・・メインランドのオークション
http://sheila6225.blogspot.com/2007/05/blog-post_20.html