家を建て、庭を整備し、これから快適な時間をそこで過ごそうと思っていた矢先に、突然、景観をぶち壊すような建物を隣人に建てられてしまい、がっかりしたというような話を何回か耳にしています。
景観の問題は、隣人との話し合いで解決できれば良いのですが、その隣人が和を重んじない人の場合は厄介です。
そしてさらに厄介な場合があります。その隣人が、Land Extortion(土地を利用した強要)をビジネスにしている場合です。
(なお、以下の話は、メインランドの土地に関するものです。プライベートアイランドの場合は、島の所有者に強い権限がありますから、land extortionのようなことは起こらないと思います。)
まずは、下の画像をご覧ください。 赤およびオレンジ色のラインは土地の境界線です。
野原の真ん中に、広告のオブジェクトがたくさん浮かんでいます。あまり人が来そうにもない場所ですから、広告効果はほとんどないと思われます。
さらに、別の場所で撮影した画像を2枚アップします。
この周辺に家を構えている人にとっては、これらの広告看板は、ものすごく目障りです。これに我慢できない場合は、広告が設置されている土地を購入するか、または、あきらめてよその土地に引っ越すしかありません。
これこそがLand Extortionをビジネスにしている人たち(以下、land extortionistと呼びます)の意図するところです。
上の2番目と3番目の画像中、小さな区画にFor Saleの看板が立っているのがわかると思います。そこの広さは16平方メートルです。land extortionistたちは、ある程度の広さの土地を購入し、それを小さな区画に分割したあと、そこに目障りな広告を設置し、相場より高い価格を設定して売りに出しているのです。
隣人は、自分のところの景観を守るために、泣く泣くその高価格の土地を購入するか、または、自分の土地を処分して、よその土地に引っ越すしかありません。けれども、隣にこんな看板が立ってしまったならば、土地を処分しようにも、良い値段で売れるはずはありません。
land extortionistは、目的達成のためには、かなり卑劣な手段をも辞さないようです。彼らの仕打ちに憤慨した住民から、セカンドライフの公式フォーラムにある投稿が寄せられていました。
その投稿によれば、あるland extortionistが16平方メートルの土地に、LAND FOR SALEの巨大看板を設置し、周りの住人たちにその土地を買わせようとしたのだそうです。しかし、しばらく経っても誰もその土地を購入しなかったため、そのland extortionistは、今度は、LAND FOR SALEの看板の代わりに、卑猥な写真を使用した、セックスクラブの広告看板を設置したとのことです。 投稿者は、LAND FOR SALEの看板はなんとか我慢できたが、新たに設置された卑猥な看板には我慢できないと書いていました。
現在、land extortionistの所有する土地に関わっている人から、直接話を聞くことができました。 彼は不動産レンタル業を行なっており、メインランドの一角にオフィスを構えています。
中央の建物が、彼のオフィスです。彼は、オフィスとその周りにある土地を所有していますが、その中に、飛び地のように他人の所有する土地が存在しています。 境界線がわかりにくいので、下に少し拡大した写真をアップしました。
中央の建物が、彼のオフィスです。彼は、オフィスとその周りにある土地を所有していますが、その中に、飛び地のように他人の所有する土地が存在しています。 境界線がわかりにくいので、下に少し拡大した写真をアップしました。
建物の左側に、小さな区画が3つほどあるのが確認できると思いますが、これらは彼の所有ではありません。広さは、それぞれ16平方メートルです。
3つのうち、両側の2つには、空中に大きな看板が設置されています。 (最初の画像でご確認ください。)
現在、一番右側の区画が売り出ています。価格は、9,950リンデンドル。1平方メートルあたりの単価は、約622リンデンドルになります。
メインランドでもっとも安い土地の単価は、現在、1平方メートルあたり10リンデンドル前後です。その単価で計算すると、16平方メートルの土地は約160リンデンドルということになります。それと比べると、上記の価格は、非常に高いです。
彼の話によれば、一番左側の区画の所有者から、以前、別の16平方メートルの土地を売ってもらったことがあるとのことで、そのときの価格は300リンデンドルだったそうです。
それと比べても、やはり9,950リンデンドルというのはかなり高く、ぼったくりといえます。
さて、land extortionistの行為は、言わば、人の弱みに付け込んだ商売ですが、それを規制するルールは今のところありません。
土地を16平方メートルの区画にして切り売りしている人たちの情報が、プロジェクトの参加者たちによって集められ、それがブラックリストとしてまとめられています。 (このような人々は、ad firm、ad parcel splitter、land cutterなどと呼ばれています。)
プロジェクトの参加者は、特別なオブジェクトを自分の土地に設置します。すると、そのオブジェクトを通じて、ブラックリスト情報がその土地の立ち入り禁止者リストに供給されます。
もし、参加者が自分の土地を売りに出すときに、そのオブジェクトを土地に設置していたならば、ブラックリストに載っている人々はその土地に立ち入ることができません。その土地に立ち入らない限り、そこを購入することはできませんので、土地が彼らの手に渡ることを防げるわけです。
現在、オブジェクトは全部で1,483個設置されており、ブラックリストに載せられている人は32名です。
プロジェクトの参加者が無料で使用できる看板です。自分の土地が、ad parcel splitterへの対抗手段をとっていることを明示するためのものです。
広告看板が林立した画像を見ていると、怒りを通り越して、悲しい気分にさえなってきます。リンデンラボ社は、住民間の争いごとには不介入の姿勢をとっていますが、やはり、このようなland extortionistに対処するためには、ゾーニング規制の導入などの全面的な介入が必要ではないかと思います。
2 件のコメント:
こんにちは。
いつも興味深く記事を読んでいます。
このやり方は日本でバブル期以降によく見られた地上げ屋と同じ手口ですね。
セカンドライフのマイナス面までどんどんリアル化していくと、現実的な生活を二重にするのと同じになってしまうので、わざわざプレイする必然性が無くなっていく気がします。
お読みくださってありがとうございます。
>セカンドライフのマイナス面までどんどんリアル化していくと、現実的な生活を二重にするのと同じになってしまうので、わざわざプレイする必然性が無くなっていく気がします。
同感です。私は今までSLの世界で素敵な人ばかりと出会えたので、SLに魅力を感じていますが、もろにマイナス面を経験したら、嫌になってしまうかもしれませんね。
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