2007年3月23日金曜日

セカンドライフ最大の銀行、Ginko・・・その2

★Ginko Financialの主体は?

前回のブログでも述べましたように、Ginko Financialはその経営内容を明らかにしていません。

セカンドライフの世界には、金融業を規制する法律は何もありませんし、監督官庁もありません。従って銀行には情報開示の義務もありませんし、その経営内容について、誰かから検査を受けることもないのです。

そもそも、SLには個人の集まりであるグループはありますが、法人という制度はありません。従ってSLの世界で銀行と呼ばれているものの実体を明確に定義することは困難です。

さて、後ほど詳しく触れますが、SLの公式フォーラム上で、Anshe ChungがGinko Financialに関するスレッドを立てたことがあり、そのスレッドの中で、経営者であるNicholas Portocarreroは、自分がGinko Financialをすべて所有していると述べています。また、現実世界においてGinkoが持っている口座を管理しているのは彼ひとりであることも明らかにしています。つまり、SLの中で預金者から預かったリンデンドルのうち、いくらかを米国ドルまたはその他の通貨に替え、そのお金をNicholas Portocarreroがひとりで運用しているということになります。

上記の投稿があったのは、2005年11月26日のことです。従って、その後、Ginko Financialという金融サービスの所有権に変動がない限り、Ginko Financialは、現在、Nicholas Portocarreroという個人事業主によって運営されている銀行ということになります。

ところで、GinkoのATMで預金すると、GF Ambassadorというアバターの口座に入金されます。GF Ambassadorの登録日は2005年4月22日です。このアバターの所有者が、Nicholas Portocarreroの所有者と同一であるということは予想がつきますが、今のところリンデンラボ社が各アバターの所有者の個人情報を明らかにしてませんので、確認する手段がありません。

★Ginko Financialに対する疑惑

Ginko Financialに対する疑惑は、今までネット上でどのように取り上げられてきたのでしょうか? その辺を少し見ていくことにします。

古いところでは、Second Life Heraldが2005年10月30日の記事でGinko Financialに対する疑惑を取り上げています。Ginko Financialがネズミ講のシステムによって成り立っているかもしれないこと、また、Ginkoがその投資先を明らかにしようとしないこと、それによって、ユーザーの間で、信用を失っていることが述べられています。

その後、2005年11月16日には、不動産王(女王)として有名なアンシェ・チャンがセカンドライフの公式フォ-ラムでGinko Financialというスレッドを立ち上げました。彼女は一連の投稿の中で、Ginko Financialはネズミ講であるとして、経営者のNicholas Portocarreroを非難しました。それに対しては、Nicholas Portocarrero本人が反論の投稿を寄せ、他の人をも巻き込んで、そのスレッドは27ページにも及ぶ長さまで続きましたが、2005年11月20日に、フォーラム管理人であるJeska Lindenが、個人間の論争は公共の場であるべきフォーラムの趣旨にそぐわないとして、このスレッドを閉鎖しました。この時のことは、Second Life Heraldの2005年11月20日付の記事で取り上げられています。

それから1年ほど経った2006年10月12日、Reutersのサイトに、セカンドライフ支局長である Adam ReutersとGinko Financial経営者Nicholas Portocarreroとのインタビュー記事が掲載されました。その3日後の10月15日には、Reutersは"Ginko Financial - Pioneer or Pyramid?"というタイトルの記事を掲載し、その中で、ネズミ講に関する本の著作者がロイターとの電話インタビューの中で、ネズミ講の疑いがあると述べたことを紹介しています。

今年に入ってからは、2007年2月12日にイリノイ大学College of LawのThe Journal of the Business Law Society というサイトに、"Virtual Bank, Real Scam?"というタイトルの記事が掲載されました。この記事はGinko Financialに対する疑惑を直接的に検証しているものではありませんが、著者はこの記事の中で、高金利の利息、経営の不透明性、経営者の不誠実な態度がSL住民の間に不信感を生み出していることを指摘し、Ginko Financialが万が一詐欺だと判明した場合、リンデンラボ社が法廷で責任を問われる可能性があることを述べています。さらに、そのような法的責任が問われるような事態を避けるため、またSL内における商取引への政府の介入を避けるため、リンデンラボ社はSL住人間の取引の正当性と透明性を確保するための規則と方針を設けるべきだと著者は述べています。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

その後の進展が気になる記事ですね。SLを始めようとするときに必ず引っかかります。
私はまだ始めていませんが、SLの中での商売の仕方や、ここでもうけたリンデンドルに疑問を感じます。アダバー間で取引して儲けたお金には手数料はかからないのか?広告を載せることに料金はかからないのか?その間接費用もニコラス氏の懐にはいるのか?
不明ですね・・・・。

sheila6225 Allen さんのコメント...

8月のエントリを見ていただければお分かりになると思うのですが、Ginkoは実質的に破綻しました。取り付け騒ぎが起こり、預金引き出しに応じられなくなったGinkoは、預金を償還期限なしの社債に転換しました。

匿名 さんのコメント...
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